友だちが「波長が合わない……」と溢していたので逆に読んでみたくなった。確かに芝居がかった部分は読んでいてそわそわしたけれど、苦境をしっかり描くことにはとても長けている作家さんだなぁと思う。
元の読書記録を見る夜空に泳ぐチョコレートグラミーの感想・レビュー
町田 そのこ
新潮社
ISBN: 9784101027418
読者の感想・読書記録
ブックミーに投稿された公開の読書記録です。感想はそれぞれの読者の意見です。
「自分の生きる世界」という大きな水槽の中で、日々悩み苦しみながら生きているわたしたちは、俯瞰して見ればみんな魚のようにただ漂っているのかもしれない。 連続短編集で、登場人物が繋がるのも面白い。「カメルーンの青い魚」が好きだった。
元の読書記録を見るこの水槽の中で哀しい思いをしないように、辛い思いをしないように、私が守ってあげる。焦らなくていいんだよ。
元の読書記録を見るたったふたりきりの群すら、構築することが苦しいのです。ねえ、私は、どこが壊れているのでしょうか。
元の読書記録を見る一話ごとの完成度がすごく高かった。 謎ときに似た仕掛けに驚かされつつ、登場人物たちに感情移入しながら読みました。 人はみな、生きづらさを抱えながら、それでも自分で生きる場所を選んで生きていく。 それが「泳ぐ」という言葉に昇華されていると感じました。
元の読書記録を見る別々の5編だけど世界観が繋がっていて面白い。 個人的には3話目と5話目が好き。 特に5話目は思わず涙してしまった。 物語の構成がとても上手い。 数行読んだだけで惹き込まれてしまう、魅力的な一冊。
元の読書記録を見る物語の書き出しがすごく素敵。 どの作品もすぐに引き込まれて、夢中で読み進めていた。
元の読書記録を見る町田そのこさん2作品目もとても好みだった。正直私自身短編集がそこまで好きじゃないけど、今回のは所々で繋がっててあー!ってなるのが好きだった。この人の文章は柔らかい。読んでて本の世界に浸れる文章。
元の読書記録を見る町田その子さんの『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』 5つの短編から成っています。登場人物は少しづつ重なっている感じです。 「カメルーンの青い魚」 サキコは、中学生の時に幼馴染のりゅうちゃんのケンカを止めに入り前歯二本を折ってしまう。サキコの前歯は差し歯になった。中学校卒業と同時にりゅうちゃんは町を出るが、ヤクザをやっているとか、悪い噂ばかり入ってきます。しかし、数年後に彼はサキコの祖母の通夜にフラリと帰ってて…。 「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」 ほぼ話の主役は晴子という中学生の少女。晴子は母親とほとんど断絶した関係にあり、祖母・烈子に育てられてきました。クラス内でいじめを受けることが続いた晴子ですが、夏の間新聞配達のアルバイトをしている同級生・啓太と出会い、少しずつ心を開いていきます。ある日、おとなしい晴子はいじめっ子のクラスメートを殴ります。 「波間に浮かぶイエロー」 軽食ブルーリボンのオーナー芙美さんは「おんこ」だ。そんな芙美さんの元に、昔の同僚環さんが転がり込む。環さんは妊娠していました。おそらく不倫している夫には知らせず子供を産むと言います。芙美と従業員沙世と環は共に生活を始めます。芙美さんは、赤ちゃんの啓太の面倒をみたこともあり子供を育てることが手伝えると言います。 「溺れるスイミー」 — 主人公の唯は幼少期に父を失い、以後は母と二人で暮らしてきます。唯は地元のお菓子工場で働いており、同僚との結婚の話が持ち上がるなかで、自身の生き方について迷いが生じます。唯はやがてトラック運転手の宇崎と出会い、父親のような「移動する生き方」に惹かれていきます。 「海になる」 3回の流産のあと子供を死産し、夫に暴力を振るわれるようになった桜子。 貧血で倒れた時、雪が降る中ネグリジェ1枚で夫に外に追い出された時、助けてくれたのは長髪の男性・清音だった。そして今まさに命を絶とうとする桜子の前に清音があらわれます。 どの話にも強い女性が出てきます。1人で子供を育てる、若くして自立を決意する、子供の産めなくなった身体を抱えて生きていこうとする。 町田その子さんの作品はたいてい女性が主役である気がします。 現代という生きづらい世の中で、苦しみながらそれでも立とうとする女性が描かれています。 わたしが好きなのは「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」かな。 「そして初めての世界があの魚にとって優しいものでありますように。生きやすい場所になりますように。」
元の読書記録を見る自分の居場所、帰る場所を見つけることができない魚たちの物語。ただ生きている。大切な人がいる。幸せになってほしい人がいる。「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」啓太と晴子は名前のない関係。お互いに同じ匂いを感じて歩み寄る2人。一緒に見上げた夜空はきっとずっと忘れられないものだし、これから先の人生を照らし続けるほのかな優しい光になるはず。「波間に浮かぶイエロー」びっくりした。芙美さんは文雄さんで重史さんではなかったなんて。一件落着かと思ったら、そこには最後の願いが込められていた。重史さんは一生たまきさんのことが好きだった。そして、芙美さんは自分のためにも環さんのためにも重史さんのためにも、重史さんを守って貫いた。1人1人が大切な人を想っているからこその行動だったんだね。「海になる」桜子と清音の出会いは偶然ではなくて必然。私の目の前に広がる海にも誰かの苦しみや哀しみ、涙が沈んでいるのかな。だから夜の海はひっそりと暗くて切なく感じるのかな。哀しみで冷たくなった身体をお互いに温め合うことができる存在に巡り会えた奇跡。桜子が流した涙は、巡り巡って晴子に辿り着いた。「ひとは誰かを育むものになれる。」そう信じたい。すごく心が震えました。人が人を想う。その心が誰かに繋がる。これこそ優しさの連鎖。私が流した涙も大切な人を支えることができる糧だったらいいな。そうだったら嬉しいな。忘れることのできない忘れたくない大切な作品です。
元の読書記録を見る連作短編集。よかったな。どこで人物がつながってくるかも楽しめるし。ちょっとした仕掛けもあって、それが物語を深くしている。そんなに人生うまくいくわけではないけど、絶望ばかりではない。すごくよかった。
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