伊坂幸太郎さんの『アヒルの鴨のコインロッカー』、です。 大学進学のため仙台に引っ越してきた椎名は、アパートの隣人である青年・河崎と出会います。河崎は椎名に親しげに接し、ボブ・ディランの歌をきっかけに会話を重ねた後、「広辞苑を盗むために本屋を襲わないか」と呼びかけます。椎名は半ば流される形でこの計画に加わり、モデルガンを持って書店に向かい、本屋を襲います。 一方、物語と並行して二年前の出来事が描かれます。仙台でペットショップに勤めていた琴美は、ブータン人留学生のドルジと恋人関係にあり、穏やかな日常を送っていました。その頃、仙台では動物を標的にした連続虐殺事件が発生しており、琴美は犯人グループと夜の公園で偶然出会い、彼らに狙われることになります。 当時、琴美とドルジの周囲には河崎という青年が存在しており、攫われそうになる琴美を助けてくれていました。また、河崎はドルジに日本語を教えてくれる存在でもありました。しかしその後、河崎は病を苦に飛び降りてしまいます。広辞苑は、日本語教師である河崎とドルジの繋がりを表現しています。 さらに、ペット虐待犯を追う過程で、琴美は彼らが逃走しようとする車に跳ねられ、命を落としてしまいます。琴美は死の直前、少し先の未来でドルジが犬を助けるために車に飛び込む場面を夢に見ていました。 現在に戻り、椎名はペットショップの店長・麗子から真実を聞かされます。椎名が隣人として接してきた「河崎」は、実際には河崎本人ではなく、ドルジが河崎の名を名乗っていた存在であることが明らかになります。 ドルジが広辞苑を手に入れようとし、本屋襲撃を計画したのは、琴美を死に追いやった本屋ではたらいていた犯人・江尻に辿り着くためでした。その目的のため、彼は河崎を演じ続けていたのです。 琴美を理不尽な暴力によって失い、さらに友人であった河崎も病で亡くしたドルジは、異国の地で深い孤独と悲しみを抱えていました。彼は、琴美から教わった「神様の声」であるボブ・ディランの歌を心の支えに、復讐を決意していました。ただし、その復讐の方法は直接的な暴力ではなく、犯人の江尻を捕らえて木に縛り付け、その行方を自然に委ねるというものでした。 物語の最後、椎名はドルジとの別れの場面で、ボブ・ディランの「風に吹かれて」を流したラジカセをコインロッカーに入れ、「僕たちは神様を閉じ込めてみたんだ」と呟きます。 ボブ・ディランはまだ歌っているだろうか、と。 …アヒルと鴨は、見た目がよく似ているのに、実は違う存在です。しかし、知らない人や遠目で見ている人には、区別がつきません。アヒルだと思って見ていたものが、実は鴨だったことはあります。 そして、椎名は最後に善悪の判断をつける存在である神様をロッカーに閉じ込めました。いろいろ考えさせられますよね。 伊坂幸太郎さんの代表作って本屋大賞をとった『ゴールデンスランバー』何でしょうけれど。 私はこの作品すごいと思います。
元の読書記録を見るアヒルと鴨のコインロッカーの感想・レビュー
伊坂幸太郎
東京創元社
ISBN: 9784488464011
読者の感想・読書記録
ブックミーに投稿された公開の読書記録です。感想はそれぞれの読者の意見です。
初めての伊坂幸太郎作品 タイトルのお洒落さで興味を持った記憶。 読了後のイメージは変わります。 初対面のアパートの隣人から、書店強盗に誘われる主人公。ターゲットは広辞苑?? あらすじ紹介文からなんだそりゃって思い購入。 暗さや悲しさも感じつつ、どこか前向きになれるストーリー。お気に入りの一冊。
元の読書記録を見る色々と騙された。わかってから読み直すとA面とB面で表現されてるかたちは違うんだけど、違和感なく読み進めてしまった。 動物飼いには少ししんどいシーンがある。 主人公はこの本の主人公ではあるけれど、彼らの物語の中の脇役…という表現が斬新で面白かった。
元の読書記録を見る題名の意味はどういうことなの???とずっと思ってたから、最後に謎が解けてすっきり!テンポ良くリズミカルに話が進んでいって、とっても読みやすい一冊!📚 ブータン人の考え方、今の日本人が忘れてしまうようなことばかり、こんな考えがあればもっと楽に生きられるんじゃないかなぁと。 「神様を閉じ込めよう」生きてきてこんな表現に出会ったことなかったから、???ってなったけど、人物の人間性とかユーモアが溢れてる表現でとっても好き🫶
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