2017年ノーベル文学賞を受賞したカズオ•イシグロの代表作 以前、日本のドラマでリメイクされたものを見た事があり、大まかな内容は知っていたが、原作を読んでみてドラマを見た時とはまた違う感情になった。 主人公キャシーのとても穏やかな語り文章で幼少期から31歳の現在までを振り返るなかで、仲良しのルースとトミーとの関係や幼少期を過ごした施設ヘールシャムでの生活が丁寧に描かれており、その中で徐々に明かされる彼らのある使命がとても切なくなんとも胸が苦しくなる。でも彼らに悲壮感はあまりなく、それを受け入れているように思えるが、ある噂を聞いて最後にそれを確かめ実行する姿から、やはり抗いたい気持ちがあるのだと感じた。 医学の進歩が進み、この小説のようなことが現実にも起こらないとは言いきれないことを考えると恐ろしくなる。 悲しい物語だか、描写が静かで美しく引き込まれた。 イギリスのロストコーナー『ノーフォーク』はいつか行ってみたい。 タイトルにもなっているJudy Bridgewaterの『Never Let me go』は実在する曲でYouTubeで聴くことができた。想像してたより華やかな曲だった。 2026年9月2日読了(Audible併用)
元の読書記録を見るわたしを離さないでの感想・レビュー
カズオ・イシグロ/土屋 政雄
早川書房
ISBN: 9784151200519
読者の感想・読書記録
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この話は残酷でもなく悲劇でもない。 現実、人は理由なく産まれ、生きる目的もなく、しかも知らされず、面倒な事に押し付けられ、運と生まれながらの環境に人生を左右され、何なら事件事故でいきなり死んでしまう。 この本の彼ら、彼女たちには、生まれて来た意味、目的が与えられている分、ある意味幸せである。人生の覚悟、死の覚悟を身に付けている。夢を見る事は許されていないが、現実だって、夢を見たって叶えられる人は一握りなんだから現実の方が残酷だと。 つまり彼らと私たちの違いは「夢を見る事が許されるかどうか」だけである。これが悲劇なだろうか、残酷なんだろうか。
元の読書記録を見る全体的に回想ベースで情景や心情が多く、小説にしては会話が少ない。 臓器提供のためだけに育てられたクローンに心や魂はあるのか。 淡々と進んでいく話に無機質さを感じさせるが、「なくしたものはノーフォークに集められる。そこに行けば必ず見つかる」という子供の時に思い描いていた空想に浸り、亡くなった恋人に会い涙を流す。 心はちゃんとあるんだと感じられる終わり方だった。
元の読書記録を見る長年の積読をやっと消化。 自分の運命をただただ受け入れてるキャシー。こちらはとても辛いのに、キャシーは淡々としていて。読み終わった後しばらく呆然としてしまった。
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