わたしを離さないで
カズオ・イシグロ/土屋政雄
早川書房
2008年08月
概要
優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていくー全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。
ステータス
読んだ
イナコシハコさんの感想・評価
この話は残酷でもなく悲劇でもない。 現実、人は理由なく産まれ、生きる目的もなく、しかも知らされず、面倒な事に押し付けられ、運と生まれながらの環境に人生を左右され、何なら事件事故でいきなり死んでしまう。 この本の彼ら、彼女たちには、生まれて来た意味、目的が与えられている分、ある意味幸せである。人生の覚悟、死の覚悟を身に付けている。夢を見る事は許されていないが、現実だって、夢を見たって叶えられる人は一握りなんだから現実の方が残酷だと。 つまり彼らと私たちの違いは「夢を見る事が許されるかどうか」だけである。これが悲劇なだろうか、残酷なんだろうか。
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