10人産んだら誰でも1人殺すことができるというシステムが確立された世界で生きる姉妹の話だった。自分がこの世界に生きていたら、10人産んでまで殺そうと思う人はいないと思うけど、殺されることに怯えながら暮らすことになるだろうと思った。大多数の人がそのようになるだろうと思うが、そうなればみんな今以上に他人に気遣いながら生きることになるかもしれない。 人権や倫理など今まで人類が積み上げてきたものをぶち壊すようだが、確かに合理的なシステムであると思うので、このシステムの導入について真剣に考えてみるのも面白いと思う。
元の読書記録を見る殺人出産の感想・レビュー
村田 沙耶香
講談社
ISBN: 9784062934770
読者の感想・読書記録
ブックミーに投稿された公開の読書記録です。感想はそれぞれの読者の意見です。
「世界99」を読みたいのだけど予行演習にとずっと興味のあったこの本を読んでみた。村田沙耶香さんの作品はエッセイが好きで2冊読んで、小説はコンビニ人間しか読んだことがなかった。 「殺人出産」は短編集なのだけど、どれも生と死や性がテーマになっている。性についての小説は苦手だけど、どれもそれを切り口に倫理観や道徳感、「普通とは?」という問いかけが共通しているので読みやすかった。 表題作が一番衝撃的で、淡々とした語り口で狂った世界が描き出されていくディストピア小説。少しだけHandmaid’s Taleを思わせる世界観。彼女の世界観が独特だという評論をよく見かけるけれど、その正体は恐らく「気味悪いのにするすると読ませる筆力」で、それによってその世界にどっぷり浸かった末に「‥なんでこれがダメなんだっけ?」と現実世界の倫理観にも疑問を抱かせてしまうことにあるんだと思う。 他三作は表題作ほどの引き込み力はないものの、最後の「余命」は数ページにギュッと詰まった不思議な世界が余韻を残す。 村田沙耶香さんの作品に中毒性があるということを、身をもって体感した。
元の読書記録を見る「命を奪うものが、命を造る役目を担う。」 歪んだ理想世界だと思う一方で、短期間での物差しで安易に判断してはならないとも思う。 我々は生と死は密接に関わっていることを軽視しているのではないだろうか。
元の読書記録を見るおめでとうございます! 可愛い赤ちゃん無事生まれましたよ! 祝福の中、彼女の心中はそこにない。 10人産んだら1人殺せる。 少子化脱却の原動は極限の殺意。 それほどにまで殺したい人。 私はいます。
元の読書記録を見る世の中の「普通」「常識」が変わったり増えたりしたときに、それに対して意固地にはなりたくない。 命のあり方に対して、性と死の方向からアプローチしていくのは自然だと思うが、その上で発想が異彩を放っているなぁと感じた。「命を産み出すものには命を奪う権利がある」というよりは「命を奪う権利があるのは命を産み出すものだけ」という感じ? 以下は難癖。 「死に人」が仮に誰か他者の命を奪った場合、産刑に処されるのか、あるいはそのまま部屋で死を待つのか。 「死に人」が自ら命を絶った場合、その人を指名した「産み人」は再度誰かを指名できるのか。「特定の人の命を奪いたい」というモチベーションで「産み人」になったならともかく、「誰でもいいから殺人衝動をぶつけたい」場合、「産み人」側はどうやってその鬱憤を無くすのだろう?
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