その手をにぎりたい
柚木 麻子
小学館
2017年03月07日頃
概要
銀座鮨店に10年通ったバブル期OL物語 80年代。都内で働いていた青子は、25歳で会社を辞め、栃木の実家へ帰る決意をする。その日、彼女は送別会をかね、上司に連れられて銀座の高級鮨店のカウンターに座っていた。彼女は、そのお店で衝撃を受ける。そこでは、職人が握った鮨を掌から貰い受けて食べるのだ。青子は、その味にのめり込み、決して安くはないお店に自分が稼いだお金で通い続けたい、 と一念発起。東京に残ることに決めた。 お店の職人・一ノ瀬への秘めた思いも抱きながら、転職先を不動産会社に決めた青子だったが、到来したバブルの時代の波に翻弄されていく。
ステータス
読んだ
しろくまさんの感想・評価
バブル期のOLが主人公の話。 自分はバブル期を生きてきた人間ではないものの描かれる情勢描写にリアリティが感じられ、青子の移り変わりゆく環境や心の動きにのめり込み、心底感情移入している自分がいることにふと気づいた。 ノンフィクションではないのかと思えるほど、時に強く美しく、時に静かに醜くなる青子がリアルだ。 決して綺麗事だけではないのが、まさに人生だという感じがする。だから青子が実在する人物なのではないかと思えてしまう。 出てきた登場人物たち、多くをあまり語らない寿司職人の一ノ瀬さんでさえも、気が遠くなるほど人間くさい。ここに描かれている人物たちは生きているんだ、と信じさせてくれる。血が通っているのだ。 人生ってこんなままならないもので、ひたすら意味を求め続けて、がむしゃらに生きていくものだよなって気づかせてくれた。 そうして生きて、ある日ふと後ろを振り返ったときに自分を許せたらそれで良い。そう教えてくれる本だった。
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