じゅりんこ優しい地獄
優しい地獄

優しい地獄

イリナ・グリゴレ

亜紀書房

2022年07月21日頃

概要

『雪国』を読んだ時「これだ」と思った。 私がしゃべりたい言葉はこれだ。 何か、何千年も探していたものを見つけた気がする。 自分の身体に合う言葉を。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 社会主義政権下のルーマニアに生まれたイリナ。 祖父母との村での暮らしは民話の世界そのもので、町では父母が労働者として暮らす。 川端康成『雪国』や中村勘三郎の歌舞伎などに魅せられ、留学生として来日。 いまは人類学者として、弘前に暮らす。 日々の暮らし、子どもの頃の出来事、映画の断片、詩、アート、人類学……。 時間や場所、記憶や夢を行ったり来たりしながらつづる自伝的なエッセイ。 《本書は、社会にうまく適応できない孤独な少女の記録であり、社会主義から資本主義へ移っていくルーマニアの家族三代にわたる現代史でもある》 ■生き物としての本 上 ■生き物としての本 下 ■人間の尊厳 ■私の遺伝子の小さな物語 上 ■私の遺伝子の小さな物語 下 ■蛇苺 ■家 ■マザーツリー ■無関心ではない身体 ■自転車に乗っていた女の子 ■天道虫の赤ちゃんは天道を見ることができなかった 上 ■天道虫の赤ちゃんは天道を見ることができなかった 下 ■なんで日本に来たの? ■シーグラス ■ちあう、ちあう ■透明袋に入っていた金魚 ■社会主義に奪われた暮らし ■トマトの汁が残した跡 ■冬至 ■リボンちゃんはじめて死んだ ■毎日の魚 ■山菜の苦味 ■優しい地獄 上 ■優しい地獄 下 ■パジャマでしかピカソは描けない ■紫式部 ■あとがき

ステータス

読んだ

じゅりんこさんの感想・評価

あまりにもよくて、ゆっくりゆっくり読んだ。 チャウシェスクという独裁者のこと、考えたことなかった。その独裁下で生きるルーマニアの人のことも。 でもこの本の素晴らしさはそんなことじゃない。とても個人的な、自分の胸に隠しているようなことに、響いてくる文章。切り取られ方。見せ方。 社会主義を実感として味わった。薄暗く湿った団地。 「社会主義とは、宗教とアートと尊厳を社会から抜き取ったとき、人間の身体がどうやって生きていくのかと言う実験だったとしか思えない。」 忘れられない一節。

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