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西 加奈子
ポプラ社
2019年11月06日
概要
「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる、ある「奇跡」が起こるまでは…。西加奈子の渾身の「叫び」に心ゆさぶられる傑作長編。
ステータス
読んだ
こめぱんさんの感想・評価
シリアに生まれアメリカ人の父と日本人の母の養子として恵まれた暮らしをする主人公。戦争や貧困など悲惨な出来事が自分の縁あるところで起こる一方で、自らはそれを経験せず免れ続けてきたことに罪悪感を感じていた。なにかに選ばれた人間として、選ばれなかった遠くの人達の悲痛な声にとらわれながらも、選ばれたゆえの身近な幸福を享受しつづける自分に葛藤する。 恵まれたゆえの罪悪感や苦しんでいないことの苦しみは思い当たるところもあったが、途中から主人公に苛立ってしまった。個人の幸せとよい社会の成立の対比がテーマとしてあったけれど、主人公の象徴する個人の幸せとは、ある意味嫌悪したくなるようなわがままで勝手なものだとおもった。
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