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吉本 ばなな

新潮社

2002年07月

概要

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思うー祖母の死、突然の奇妙な同居、不自然であり、自然な日常を、まっすぐな感覚で受けとめ人が死ぬことそして生きることを、世界が不思議な調和にみちていることを、淋しさと優しさの交錯の中であなたに語りかけ、国境も時もこえて読みつがれるロング・ベストセラー、待望の定本決定版。“吉本ばなな”のすべてはここから始まった。

ステータス

読んだ

Ottさんの感想・評価

三つの短編は、どれも「喪失」の物語でした。大切な人を失ったとき、心の奥まで痛み、悲しみで自分の人生が止まってしまったように感じる――そんな苦しみと向き合いながら、どうやって生き直していくのかが描かれていたと思います。でも、今の私は、そういう喪失を前にしても、もうあんなに激しい感情に引き裂かれることはなくなった気がします。 成長する中で、「失う」ということに対して鈍感になったのかもしれません。 「人は人生の中で一度、徹底的に絶望しなければ、本当に手放せないものも、本当の喜びもわからない。」――そんな言葉が頭に浮かびます。これまで何度も「失う」経験をしてきたから、もしそのたびに心をえぐられるほど泣いていたら、きっと私は生きていられなかったと思います。 成長が教えてくれたのは、傷ついたときこそ恨むより出口を探すこと。人は愛する人と永遠に一緒にいられるわけではないし、どんなに素敵な出来事もやがては過去になる。どんなに深い悲しみも、いつかは薄れていく。 思い返せば、青春時代の自分は感情がとても濃くて、ちょっとしたことで悲しんだり泣いたりして、世界の中心は自分だと思っていた。あの頃の自分は幼いけど、可愛らしいなって思います。 今の私は、毎日コロコロで落ちた髪を取って、「私、まるで生活のペットみたい」って思う。でも、そのペットを世話する飼い主も自分なんですよね。

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