斜陽
太宰 治
新潮社
2003年05月
ステータス
読んでる
Ottさんの感想・評価
『斜陽』って、読んでて本当に胸に刺さる作品でした。没落していく貴族の家族の話なんだけど、ただの時代小説じゃなくて、現代の私たちにも通じる心の苦しさが描かれてるなって思いました。 直治の日記にある「早熟のふりをすれば早熟だと言われ、怠け者のふりをすれば怠け者だと言われる」って言葉がすごく印象的。人って結局、周りの目を気にして、自分を演じちゃうところがあるんだなって。しかも、その演じる重さに自分で押しつぶされてしまうのが切ない。 和子と直治、姉弟なのに全然違う堕ち方をしていくのも面白い。和子は恋愛で空虚を埋めようとするし、直治はお酒や薬に逃げちゃう。お母さんはずっと上品さを保ったまま、静かに死を待っているみたいで、それもまた悲しい。 この作品のすごいところは、ただ暗いだけじゃなくて、堕ちていく姿さえもどこか美しいところ。直治の独白はすごく頭が良くて、和子の行動もどこか詩的で、読んでると悲しいのに目が離せないんです。苦しみをそのまま抱え込むんじゃなくて、「美しいもの」にしてしまう感じが、現代人っぽいなって思いました。 夕陽に照らされた登場人物たちを見てると、戦後の日本だけじゃなく、今の私たちの姿にも重なる気がします。結局、私たちもどこかで同じように、優雅に自分を壊していってるのかもしれない……そんなことを考えさせられる一冊でした。
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