にね私が鳥のときは
私が鳥のときは

私が鳥のときは

平戸 萌

河出書房新社

2023年12月01日頃

概要

中三の夏休み、蒼子の母が元同僚で余命わずかのバナミさんをさらってきた。なんでうち。なんで今。腹を立てる蒼子だったが、ひょんなことから一緒に受験勉強に励むようになりー受賞作「私が鳥のときは」。英語の授業は気づまりだし、部活は基礎練ばかり。「社会」というもののハードさに気づきはじめた、中一のバナミと友人たち。夏休み、お屋敷に暮らす老婦人・英子さんと出会ってー書き下ろし「アイムアハッピー・フォーエバー」。軽やかに瑞々しく、世界をあざやかに変える傑作青春小説、誕生!第4回氷室冴子青春文学賞大賞作。少女と元少女たちに訪れた、奇跡のような夏の物語。

ステータス

読んだ

メモ

2024/2/12読了

にねさんの感想・評価

デビュー作とは思えない、圧巻の青春小説でした。 表題作「私が鳥のときは」 タイトルの意味がわかったとき、まなうらに真っ青な空が浮かびました。じんわりと胸があたたかくなって、泣きそうになりながら、この小説は、まさに今を生きている少女たちに読んでほしいと強く思いました。 作中の少女たちはそれなりに息苦しさや苦悩を抱えて生きていますが、代えがたいひと夏を過ごすなかで、いろんな感情に出会います。醜かったり、いやらしかったり、この世は良いモノばかりとはいえません。でもそれ以上に、うつくしいもの、きらきらしたもの、かけがえのないものがあるということを、この小説はさりげなく教えてくれているような気がします。 今まで、少女向けに書かれたものがたりを愛読し、もう少女とは呼べない年になった私だからこそ、胸を張って少女たちにおすすめしたい小説です。 「アイムアハッピー・フォーエバー」 こちらもとても良かったです。表題作よりもボリューミーで、読みごたえがありました。 作者の平戸萌さん、登場人物の人となりの表現や、映像が目に浮かぶような情景描写がとてもお上手なのですが、私がすきなのは登場人物たちが集まってわちゃわちゃ楽しそうに何かしているところ。 ストーリー自体は青春小説にありがちな、大それたドラマが起こるわけでもなくひと夏が過ぎていくのですけども(もちろん、彼女たちにとってはじゅうぶんすぎるドラマではあるのですが)、クライマックスに向けて彼女たちが仕掛けるサプライズへのワクワク感が、きちんと肌感覚として伝わってくるのです。私も彼女たちの仲間になって、この最高にハッピーな瞬間に立ち会いたい、と心から思える、さわやかな読後感でした。 これからの活躍を応援したい、新たな作家さんとの出会いに感謝を込めて。

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