マルセル・デュシャンとは何か
平芳 幸浩
河出書房新社
2018年10月24日頃
概要
マルセル・デュシャンっていったい何なんだ。超一流の画家でもなければ、世界の名だたる美術館に作品が飾られているわけでもない。男性用小便器を“泉”と名づけて偽のサインをして展覧会に出品しようとしたり、工業製品がそのままアート作品になる方法論を編み出したり。かと思えば、巨大なガラスに謎の図像を描いた作品を未完成のまま放置したり。キネティック・アートの先駆と言われ、コンセプチュアル・アートすら始めてしまった人。で、もう一度問うけれど、「あらゆる現代アートの祖」と言われるデュシャンって、じゃあいったい何なんだ?本書は、ブリリアントなデュシャン研究で吉田秀和賞を受賞した第一人者による、最新の研究成果を反映した平明でポップな書きおろしデュシャン入門。謎に満ちた彼の人生と作品、そして作品以外のもろもろまで、手に取るようにわかります。
ステータス
読んだ
なつめさんの感想・評価
デュシャンの作品と人生をざっと把握できる本。分かりやすくて面白い。よりデュシャンがくっきりした。これをインタビュー本より先に読んだほうがいいかも。 作家として活躍せず、プロチェスプレイヤーになっていた時代もある。作らないアートとは何だ?からレディメイドを生み出した。一言では言い表せないほど様々なことをチャレンジし、後の芸術に影響を与えた人。奇抜な人、泉の人としか捉えられないのはもったいないことだったんだなあと気づいた。私たちがデュシャンを一面的にしか知らないということ=まだ従来のアート感にのっとっているということなのかもしれない。すごくデュシャンに見透かされている感じがする。批評から始まっているからか、作者が死んだあとも作品たちは全く古くならずむしろ最先端を突っ走っている。 現代アートは作品(人生の一部分を区切ったもの)というより作家の人生全体が主体となるものである、というアプローチが面白いと思った。たしかにそういう側面が現代の美術にはあると思う。時代がデュシャンに追いついたんだろう。 一生一貫した姿勢を貫けるのかっこよすぎる。思考遍歴を全て同じ展示室で展示してほしいという希望は、現代アートとは人間を展示するものなのか、一人の人生の自己表現なのかという疑問を連れてくる。 世界に4つしかない大ガラスの複製のうちの一つが東大博物館にあるそうなので、見に行きたい。 チョコレート粉砕機とかいう妙な機械に『癖』を感じていたデュシャン...面白いねえ
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