華氏451度〔新訳版〕
レイ・ブラッドベリ/伊藤 典夫/小野田 和子
早川書房
2014年06月26日頃
概要
SFの抒情詩人が豊かな感性と叡智をこめて現代文明を痛烈に諷刺! 名作待望の新訳版華氏
ステータス
読んだ
たけさんの感想・評価
華氏451度、それは本に火が移り、燃え上がる温度。 そう遠くない未来に生きる主人公は『昇火士』であり、本を燃やすことが仕事だ。 この話の中では、本を持つことはそれ自体が危険思想の持ち主であるとされ弾圧される。 火を燃やすことは愉しかった……そんな一文から始まるのだが、主人公はある葛藤を抱えていた。 そしてその葛藤は、ある少女との出会いによって浮き彫りにされていく。 2回読んだ。特に序盤は、1回目ではとても理解できない。 この本全体に深い悲しみを感じる。 本を求めない世界への批判でもなく、本を求める情熱でもなく、失われていく思考性への悲しみ。それは、指の間からこぼれ落ちていく大事なものを見つめながら、掬い上げる術を持たない社会への深い悲しみのような視線だと思った。 人間と共にあり続ける火、そして文字と本。 これから私たち人間はどこに行くのだろうというSF作品の根源テーマを感じ取る事ができた。
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