Ayumiさんかく
さんかく

さんかく

千早茜

祥伝社

2023年10月12日

概要

「おいしいね」を分かち合える、そんな人に出会ってしまったーー 直木賞作家が描く、三角関係未満の揺れる女、男、女の物語。 「入念な下ごしらえがなされた滋味深いおばんざいをいただいた。そんな後味の残る小説だ」阿川佐和子 恋はもういらないというデザイナーの夕香。かつて夕香の職場でバイトをしていた正和。恋人の正和よりも研究一筋の、大学院生の華。偶然再会した夕香と正和はたびたび食事を共にするうちに、夕香の暮らす京町家で同居することに。理由は食の趣味が合うから。ただそれだけ。なのに、正和は華にどうしても打ち明けられなくて……。 揺れ動く、三角関係未満の女、男、女の物語。

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Ayumiさんの感想・評価

食べものが好きな人が描く食べ物って、なぜこんなにも魅力的なのか。出てくる食べものすべてを食べたくなる。寝る前に読むのは拷問だった。 食の好みが合う男女が共に暮らす。そこには生活があるが、恋愛感情はない。‥本当に? 料理上手な高村さん、食べるのが好きな伊東くんのふたりはとても調和しているように見えるのだけど、伊東くんの彼女の華ちゃんは動物の解剖をする研究者で、食に興味が薄い。ここの価値観がずれていることって、生活を共にする関係において致命的だと思う。誰が悪いとかいう話ではなくて、ここの価値観は絶対に合っていたほうがいい。 意地を張ったり、自信を持てなかったり、弱さに揺れたりする心の機微を、千早さんは繊細かつリアルに描く。その距離感と余白の美しさが心に残る。 三人の視点で書かれた章で話が進むので、全員に感情移入してしまう。何度も読みたい一冊。

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