推し、燃ゆ
宇佐見 りん
河出書房新社
2020年09月11日頃
概要
推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った。第164回芥川龍之介賞受賞。
ステータス
読んだ
Ayumiさんの感想・評価
純文学のおすすめとして挙げられていたのをきっかけに読んでみた一冊。 わたしが主人公あかりの年齢だった頃も「推し文化」みたいなものはあったけれど、いまのように「推し」という言葉もなかったし、わたし個人のことで言えば好きだなと思う俳優やアーティストがいても、彼らを応援するために自分を削るほどのめり込んだことはなかったので、「推しを推す人の心理」みたいなものにはじめて触れて、とても新鮮だった。 あかりはおそらく何らかの発達特性を持っていて、自分の身の回りのことがうまくできない。それでも学校に行き、推し活のためにバイトをし、人並みの生活を送ろうとするが、どうして自分は普通にできないのだろう?と葛藤する姿に胸が痛む。 これを読んでいると、推し活にのめり込む人というのは、どこか心の拠り所みたいなものを探していて、ただ好きだから推すみたいな単純な構造ではないのだなと感じる。 推し活しているときの非現実的なあかりの心理状態と、現実を描く描写のコントラストが素晴らしくて、あかりが生き生きとしている推しのいる世界と、あかりが苦しみもがいている現実を行ったり来たりしながら、彼女の人生を俯瞰して見ているような、不思議な読書体験だった。
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