Ayumiイン・ザ・メガチャーチ
イン・ザ・メガチャーチ

イン・ザ・メガチャーチ

朝井リョウ

日経BP 日本経済新聞出版

2025年09月03日頃

概要

沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰するーー。 あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側ーー世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。 「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」

ステータス

読んだ

Ayumiさんの感想・評価

朝井リョウさんの小説って、こんなに面白いんだと感動した。 ファンダム経済を動かす人 推し活にハマる人 推し活から目が覚めた人 3人の視点で進んでいく物語が、思いもよらない方向に進んでいく。 世界が抱える様々な問題が見えるようになることで生まれる「自分の手に負えない不安や絶望」や、見たくないものが見えてしまう現代社会のストレスを解消するのが、視野を狭く持ち特定の対象に没頭する推し活。 推し活をしたこともないし、興味もなかったのだけど、読みながらその心理が見えてきた。 手に届かない広い世界のことより、狭い世界で自分が影響を与えていると思う方が安心という心理。同じ思考を持つ集団の中に身を置くことで、自分はその一員であるというある種の確信を得て心が安らぐ心理。 でもそれは、仕掛け人がいてのことであり、その仕掛け人は巧みな手腕で推し活行動を促していく。 周りに合わせて視野を広げなければと必死になっていた大学生が、あえて視野を狭めることで心の安息を得るのに対して、せっせと推し活していた女性が視野を広げることで新たな沼にハマっていく様子は、見事なコントラストだった。 ラスト100ページは読む手が止まらず、最後まで期待を裏切らない展開だった。 ファンダム経済の表と裏をリアルに描きながら、エンタメ小説としての「読ませる力」もある、完成度の高い小説だと感じた。 村田沙耶香さんの「世界99」と並ぶ今年のベスト本という声も多く、その評判にも納得。

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