Ayumi世界99 下
世界99 下

世界99 下

村田 沙耶香

集英社

2025年03月05日頃

概要

私たち、ピョコルンに、全部捨てられるようになりましたよね。 性欲を。出産を。育児を。介護を。人生の時間を食いつぶす、あらゆる雑務を。 14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。 しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。 そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。生まれ育った街「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遥とその娘・波とともに。 ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。 村田沙耶香渾身の大長編、ここに完結。 都合の良い「道具」・ピョコルンを生み出した果てに、人類が到った極地とはーー。 【著者略歴】 村田沙耶香(むらた・さやか) 1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。

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読んだ

Ayumiさんの感想・評価

上巻で目まぐるしく変わる世界が描かれたが、下巻では「イベント」と呼べるような大きな世の中の変化は少なく、それに応じて空子の心理描写や、哲学的な思想が描かれる。 異様なまでに殺菌された世の中は、今すでに世の中に蔓延している「負の感情を外に出すことは恥ずかしい」という風潮に通じるところがある。 搾取される側の人間も、時代の変容によって搾取する側になり得る。人は多面的で、善にも悪にもなり得る。そして脳は記憶を最も簡単に書き換え、マジョリティに順応していく。 途中、若干繰り返しになる描写が多くなり、少し間延びした印象を受けたが、最終章の気味の悪さはさすがだと思った。 グロい描写や性暴力などトリガーアラートが付いているのも納得の内容だが、普段そういった描写を避け、SF小説も読まないわたしでもとても楽しめる読書体験だった。

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