Ayumi父の帽子
父の帽子

父の帽子

森 茉莉

講談社

1991年11月01日頃

概要

東京・駒込千駄木観潮楼。森鴎外の長女として生まれた著者は、父鴎外の愛を一身に受けて成長する。日常の中の小さな出来事を題材にして鴎外に纏わる様々なこと、母のことなど、半生の想い出を繊細鋭利な筆致で見事に記す回想記。「父の帽子」「『半日』」「明舟町の家」「父と私」「晩年の母」「夢」ほか16篇収録。日本エッセイストクラブ賞受賞。 ●父の帽子 ●幼い日々 ●二人の天使 他

ステータス

読んだ

Ayumiさんの感想・評価

贅沢貧乏と異なり、ユーモアは控えめで森茉莉の筆力を感じさせる一冊。 序盤の幼い頃の思い出を描いた部分の情緒が素晴らしく、まるで自分がいまは廃墟となった家にポツンと立っていて、彼女の言葉によって走り回る小さい茉莉ちゃんや、座る志けの後ろ姿が浮かび上がるような切なさを感じる。 幼い頃の思い出が色鮮やかに描かれる一方で、父の晩年に感じた冷たさ、母との関係、そして森茉莉の人生観などが細かく綴られる中盤以降にはどこか寂しさも感じられる。 薄い本なのにとても時間がかかったのは、彼女の紡いだ言葉を一語一句理解したかったから。とても大好きな一冊になった。

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