本の感想・レビュー
父の帽子

父の帽子の感想・レビュー

森 茉莉

講談社

ISBN: 9784061961517

読者の感想・読書記録

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Ayumiさん

贅沢貧乏と異なり、ユーモアは控えめで森茉莉の筆力を感じさせる一冊。 序盤の幼い頃の思い出を描いた部分の情緒が素晴らしく、まるで自分がいまは廃墟となった家にポツンと立っていて、彼女の言葉によって走り回る小さい茉莉ちゃんや、座る志けの後ろ姿が浮かび上がるような切なさを感じる。 幼い頃の思い出が色鮮やかに描かれる一方で、父の晩年に感じた冷たさ、母との関係、そして森茉莉の人生観などが細かく綴られる中盤以降にはどこか寂しさも感じられる。 薄い本なのにとても時間がかかったのは、彼女の紡いだ言葉を一語一句理解したかったから。とても大好きな一冊になった。

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