レーエンデ国物語
多崎 礼
講談社
2023年06月14日
概要
聖イジョルニ帝国フェデル城。家に縛られてきた貴族の娘・ユリアは、英雄の父と旅に出る。呪われた地・レーエンデで出会ったのは、琥珀の瞳を持つ寡黙な射手・トリスタンだった。空を舞う泡虫、乳白色に天へ伸びる古代樹、湖に建つ孤島城。その数々に魅了されたユリアは、はじめての友達、はじめての仕事、はじめての恋を経て、やがてレーエンデ全土の争乱に巻き込まれていく。
ステータス
読んだ
れぱさんの感想・評価
美しさにはね、残酷さがつきものだと思うんです。 死んでしまうから今が愛おしいとはよく言ったもので。あぁ本当に、素晴らしいファンタジーだった。私が心を飛ばして夢想する世界がひとつ増えました。私はアーレス山脈を越えて彼の地に行きたい。レーエンデの民の生き様を目にして、時に排されたとしても、生きてみたい。シャボン玉のような泡を見て、手を伸ばして、その向こうに月明かりを見るの。 愛だの恋だの、なんて言ってさ。恋愛なんていうふうな熟語をつくってしまったから、私たちは愛をまるで恋情に限るようなもののように評する事も多いけれど、そんなことはないと思うの。愛ってほんとうはもっと大きな範囲で括ってよくって、愛以外のなにものでも無いんじゃないかって。親愛も敬愛も慈愛も恋愛も、全部ないまぜにして愛していると言えばいい。きらきらした感情じゃなくていい。澄んだ川の水みたいに綺麗じゃなくていい。真っ黒でもいい。光を通さない暗い場所に閉じ込めるのだとしても、それが相手を雨風や敵意から護るのならば、やっぱり愛だと思うんだよ。それがどんなに汚く、醜く、卑しく思えたとしても。 少し俯瞰的な見方をすると、文章がとても現代らしかった。ネット小説とも近いライトな書き口が多い。会話文が多い。地の文は説明をしなくて、キャラクターの感情をわりと直接的に伝えてくる。キャラクターの感じていることはとってもわかりやすいからストーリーの運びに違和感を覚えることはなかったけど、景色の解像度は低めだったかも。そこは私の慣れがカバーしちゃったんだけど。キャラクターの感情的にも、レーエンデにしかない物には驚いたり惹かれたりしてくれるから描写があるんだよね。でも、鬱蒼とした木立とか、崖とか、彼らにとって普通なものの描写は少ない。なのでこれは私がこれまで読んできた色んな冒険小説、ファンタジー小説から形成されたイメージでかなり補完した感じがする。作者さんが思い描いている景色見たいよ〜〜〜!!!!表紙の絵があるのでかなり色合いのイメージは合ってる気がする。っていうか、孳々さんの繊細な絵のタッチ似合いすぎ。 あと見た目の話もします。 箔押し!!大好き!!!愛してる!!!! 表題のレーエンデのデの濁点が星型になってるのも最高ポイントですね。あとこの箔押し、金色だと思うんだけど、光の反射によって虹色に見える気もしています。なんか凄い。表紙の鏡の淵にも箔が入ってるの最高ですね。円の1番内側と、上下左右の飾りの点部分。最高です。これぞ異世界への入り口って感じ。おまけに背表紙にまで箔がある!!!!嬉しい。それに英題がある。『The Chronicles of Leende』レーエンデ国の歴史、最高かな。最高の歴史小説を手に入れてしまったか、これは。カバー外したら表紙は英題だけなのも最高。 更に地図と、楕円の枠で囲われた登場人物の絵!!各章の扉にはTipsもある。良すぎる。制作陣と握手したいし拍手を贈りたい。本当に良い本に出会えたな〜!!!!!
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