野火
大岡 昇平
新潮社
1982年04月
概要
敗北が決定的となったフィリピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける…。平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったかをたどる戦争文学の代表的作品である。
ステータス
読んだ
のぶさんの感想・評価
じっくり読みきれなかった気がするので再読したい。主人公の眼からみた景色、風景は美しく思えるが、描写を読み込み想像することが難しかった。再読の際には一文一文を噛み砕いていく作業が要る。舞台を離れた主人公が伍長と出会うまでの心理描写もなかなか難しく読み込めていない。鬱屈した雰囲気もあり苦手かも。後半は残酷なことが起きてはいるものの他人との関わりが生じるからか何故かそれまでより、明度が上がった気がした。戦争体験記かと思って読んだが、心理描写、キリスト教、命を食べることへの疑問など、精神的な描写が多くて、思考するヒントをもらえた気がする。
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