ゆっぱ魔性の子 十二国記
魔性の子 十二国記

魔性の子 十二国記

小野 不由美

新潮社

2012年07月

概要

どこにも、僕のいる場所はない──教育実習のため母校に戻った広瀬は、高里という生徒が気に掛かる。周囲に馴染まぬ姿が過ぎし日の自分に重なった。彼を虐(いじ)めた者が不慮の事故に遭うため、「高里は祟(たた)る」と恐れられていたが、彼を取り巻く謎は、“神隠し”を体験したことに関わっているのか。広瀬が庇おうとするなか、更なる惨劇が。心に潜む暗部が繙(ひもと)かれる、「十二国記」戦慄の序章。

ステータス

読んだ

メモ

2026.8

ゆっぱさんの感想・評価

ネタバレなしで。十二国記シリーズの"エピソード0"と帯に書かれたこの作品。初めて読んだ時の感想は、「これはとんでもない作品かもしれない」。 作品の舞台となる昭和末期〜平成にかけてのあの時代特有のなんともいえない空気を胸いっぱいに吸い込んで存分に味わえるのが好き。郊外にニュータウンが次々と開発されて無機質なコンクリートが画面いっぱいにあるあの感じ。そこに物語を通して海岸から晩夏の湿っぽくて生ぬるい風が吹けば雰囲気は満点である。 同シリーズの図南の翼でも同じような感想を書いた気がするが(確認したところ書いてなかった)、小野不由美先生は心理描写も巧みだが、情景描写がとても上手いと感じる。テンポの良い文章をただ読んでいるだけで、そこにどんな湿度の風が吹いているのかがありありと感じられる。 作品が作られた背景にも触れる。 この本の怖いところは、十二国記という呼ばれ方さえされてなかった、何なら十二国記を書く予定が無い状態で書かれたというところ。 単発小説の為に背景世界の年表と地図を描いたという小野不由美先生の頭の中が異次元に感じる。 シリーズ全体は大河的なファンタジー小説だが、その序章となるこの作品のみ日本を舞台にしたミステリーホラー小説。あまりにもジャンルが違すぎない?という感じだが、シリーズ全体を読了して、まさにこの作品が物語の序章として素晴らしい役割を果たしているのだと私は感じる。 p.s.十時先生が好きです。サマーウォーズの理一さんと同じ種類の好きがあります。

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