かわまるカンザキさん
カンザキさん

カンザキさん

ピンク地底人3号

集英社

2026年01月07日

概要

「わしのこと以外、書くことなんてないやろ」 カンザキさんは、悪魔だったのか、それともーー。 大学卒業後、引きこもりを経て、僕が働くことになったのは、離職者続出、いつでも求人中の超絶ブラックの配送会社。 そこで先輩として出会ったのが、誰にでも優しい人格者のミドリカワさんと、「殺すぞぼけ」と人を罵り、蹴りを入れる悪魔のようなカンザキさんだった。 ナンバーワンの配送員になって幹部を目指す! と豪語した同期は、カンザキさんと組んで5日後に辞めた。要領の悪い同期はカンザキさんに殴られ続け、走るトラックの助手席から飛び降り、入院してしまう。そしてカンザキさんと組まされた僕は、カッター片手の彼に、トラックの荷台の上へ引きずり込まれ「服を脱げ」と命じられてーー。 圧倒的な暴力と不条理の果てに、見えてくる戦慄の光景。 注目の劇作家による初小説! 第47回野間文芸新人賞受賞作。 【著者略歴】 ピンク地底人3号(ぴんくちていじんさんごう) 1982年生まれ。同志社大学文学部文化学科美学芸術学専攻卒業。劇作家・演出家。2019年「鎖骨に天使が眠っている」で第24回劇作家協会新人戯曲賞受賞。2022年「華指1832」で第66回岸田國士戯曲賞最終候補。初の小説である本作で第47回野間文芸新人賞受賞。

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かわまるさんの感想・評価

 粋な純文学だと感じた。冷蔵庫が話したように見える場面や妄想のミドリカワさんとの対話など、一瞬、現実か空想か分からなくなるような場面さえ計算尽くされている。良作だ思う。滑稽だと一蹴する人は似たような経験をしたことがない幸せな方だと思う。カンザキさんのパワハラを超え、怪我を誘発させる行為は常軌を逸している。主人公はよく堪えているなと感じた。自分だったら初日で間違いなく逃げる。即戦力と無能が手を組めばいい。損な役回りを受けずに済むように願う気持ちや妄想に逃げないとやってられない、いっそのこと故意に事故を起こして問題を明るみにしたい、そんな気持ちがひしひしと伝わってきた。他の人といる時の方が楽しそうだと思い違った挙げ句、復活したら唯一の理解者にも裏切られる。空想にもあいつが顔を出して幕切れる。大卒がしないような仕事に就くとかえって大卒のくせに無能だと言われる始末で、あまりにも不憫すぎた。

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