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本多孝好

集英社

2005年09月

概要

死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら…。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望ー。静かに胸を打つ物語。

ステータス

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メモ

◎僕は老人を盗み見た。表情を殺した顔に僕が示すべき反応へのヒントはなかった ◎胡乱うろん(あやしくて疑わしいこと) ◎恐怖に勝とうとしたら狂うしかないんだ。死と恐怖が逆転してる。理屈ではみんなわかってる。でも、それ以上の恐怖に耐えられなくなってるんだ ◎生まれた罪は時代を生き延びて、死を前にした老人の前ですら、いまだに罰を求めて迷い歩いている ◎高校生だって天使じゃないし、僕らが生きているのも天国じゃない ◎聡い⇄疎い ◎嘘ってのはな、単純なものであっても、咄嗟にはつきにくい…

◎僕は老人を盗み見た。表情を殺した顔に僕が示すべき反応へのヒントはなかった ◎胡乱うろん(あやしくて疑わしいこと) ◎恐怖に勝とうとしたら狂うしかないんだ。死と恐怖が逆転してる。理屈ではみんなわかってる。でも、それ以上の恐怖に耐えられなくなってるんだ ◎生まれた罪は時代を生き延びて、死を前にした老人の前ですら、いまだに罰を求めて迷い歩いている ◎高校生だって天使じゃないし、僕らが生きているのも天国じゃない ◎聡い⇄疎い ◎嘘ってのはな、単純なものであっても、咄嗟にはつきにくいものだったりするんだ ◎牧野くんの目が一瞬光り、すぐに前より暗い色になった ◎それは嘆きというには乾き過ぎていたけらど、悟りと呼べるほどまでには乾き切っていなかった ◎剣呑けんのん(あぶないさま。危険なさま) ◎上田さんはただ、きて欲しい誰かがこないという現実より、誰もきて欲しい人なんていないという現実を選んだだけなのかもしれない ◎唐変木とうへんぼく(気の利かぬ人や偏屈な人を罵っていう語) ◎冷たい風が僕と僕以外の境界を際立たせた ◎やがて死んでいく人間なんてどこにもいはしない。そこにはただ、今を生きている人間がいるだけだ ◎どうも→ノーモア ◎大変ですね→アイアンメイデン

ほわほわさんの感想・評価

短編がいくつも描かれるのではなく、主要人物そのままに毎話ゲスト出演があるドラマ形式の作品。各話ごとに主となる人物が設定されている背後には、前話で名前も出なかった人物が話を進めるごとに輪郭がはっきりしてきたり、話とは無関係と思われる癖のある人物が通り過ぎたり、明らかなつながりは記さずとも特定の人物を彷彿とさせたり、その場面だけを切り取ってスポットライトを一極集中させることなく人の視野の範囲に合った広がりを持たせたりする手法は、本多さんが得意とする武器なのかもしれないと思った。これは続編のWILLやMEMORYにも目を通した上で判断したい。 主人公の神田自身の視点だけに絞られることで他の人物たちの心情はあくまで偏った見方になっている点も良かった。全てを暴き出すのではなく推測や希望的観測が随所に散りばめられることで、情景や色彩をリンクさせつつ想いを馳せることができた。 途中、”速水さんの無関心と聞き間違いは一体?酒の席でつまみの途中に出されるチョコレートみたいなポジションなのかも。お口直しというか、系統の違うものをちょっとだけ入れることで本筋の面白みを再確認するような。 全然関係ないけれど、イヤフォンをしているために生まれる聞き間違いは実際試して聞こえたものを採用してるのだろうか?それとも語感から作者が連想して書いているのだろうか?どちらにせよ取り立てるほどの大きな要素ではない”と思って読み進めていたけれど、速水さんの一見無関係な言動にも長く細い導線が引かれていて着火の火種になっていた。 狭く閉鎖された環境下ながら多種多様なドラマが完結する場でもある病院が舞台となっている。 前述したように章ごとに関連する人物が入り混じることからも、その狭さと必然性が認識できた。死と向き合う、という誰しも避けて通れない道を清掃夫の俯瞰的な目を通して見つめることで、過去も捉え方も全く異なる各々の姿勢の根源を見つけられた。

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