自分を代表する一冊。淡々とした筆致ですっと文章が入ってきて読みやすい。3番目のFIREFLYが好き。神田と森野の憂いを帯びたやりとりが雰囲気あって良い。
元の読書記録を見るMOMENTの感想・レビュー
本多 孝好
集英社
ISBN: 9784087478594
読者の感想・読書記録
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短編がいくつも描かれるのではなく、主要人物そのままに毎話ゲスト出演があるドラマ形式の作品。各話ごとに主となる人物が設定されている背後には、前話で名前も出なかった人物が話を進めるごとに輪郭がはっきりしてきたり、話とは無関係と思われる癖のある人物が通り過ぎたり、明らかなつながりは記さずとも特定の人物を彷彿とさせたり、その場面だけを切り取ってスポットライトを一極集中させることなく人の視野の範囲に合った広がりを持たせたりする手法は、本多さんが得意とする武器なのかもしれないと思った。これは続編のWILLやMEMORYにも目を通した上で判断したい。 主人公の神田自身の視点だけに絞られることで他の人物たちの心情はあくまで偏った見方になっている点も良かった。全てを暴き出すのではなく推測や希望的観測が随所に散りばめられることで、情景や色彩をリンクさせつつ想いを馳せることができた。 途中、”速水さんの無関心と聞き間違いは一体?酒の席でつまみの途中に出されるチョコレートみたいなポジションなのかも。お口直しというか、系統の違うものをちょっとだけ入れることで本筋の面白みを再確認するような。 全然関係ないけれど、イヤフォンをしているために生まれる聞き間違いは実際試して聞こえたものを採用してるのだろうか?それとも語感から作者が連想して書いているのだろうか?どちらにせよ取り立てるほどの大きな要素ではない”と思って読み進めていたけれど、速水さんの一見無関係な言動にも長く細い導線が引かれていて着火の火種になっていた。 狭く閉鎖された環境下ながら多種多様なドラマが完結する場でもある病院が舞台となっている。 前述したように章ごとに関連する人物が入り混じることからも、その狭さと必然性が認識できた。死と向き合う、という誰しも避けて通れない道を清掃夫の俯瞰的な目を通して見つめることで、過去も捉え方も全く異なる各々の姿勢の根源を見つけられた。
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