ほわほわ肩ごしの恋人
肩ごしの恋人

肩ごしの恋人

唯川 恵

集英社

2004年10月

概要

等身大の女性を描く、第126回直木賞受賞作。 女であることを最大の武器に生きる「るり子」と、恋にのめりこむことが怖い「萌」。対照的なふたりの生き方を通して模索する女の幸せ探し、新しい家族のあり方を描く。(解説・江國香織)

ステータス

読んだ

メモ

◎気にいってしまいそうなものを見つけた時、必ずいちゃもんをつけたがる、自分にはそんなところがある ◎善と悪なら、善の方。意地悪と優しいなら、優しい方。でも、馬鹿と賢いだったら、絶対、馬鹿の方だ ◎柿崎はいつだって、そこに自分の場所をちゃんと作り上げてしまえる才能を持っている ◎周りから優しく、大切に扱われるだけの過去なんてあるはずがない。悪意はいつだってはびこっていて、みんなそれに晒されてきた ◎気持ちがどこかうまくまとまらない。固まりきらないゼリーみたいにぷるぷる揺れている…

◎気にいってしまいそうなものを見つけた時、必ずいちゃもんをつけたがる、自分にはそんなところがある ◎善と悪なら、善の方。意地悪と優しいなら、優しい方。でも、馬鹿と賢いだったら、絶対、馬鹿の方だ ◎柿崎はいつだって、そこに自分の場所をちゃんと作り上げてしまえる才能を持っている ◎周りから優しく、大切に扱われるだけの過去なんてあるはずがない。悪意はいつだってはびこっていて、みんなそれに晒されてきた ◎気持ちがどこかうまくまとまらない。固まりきらないゼリーみたいにぷるぷる揺れている ◎萌はいつだって律儀だ。小さい頃からるり子と違って、自分の在り方にちゃんとルールを持とうとしている ◎恋はいつだって不意打ちだ。だからこそ、足を滑らしたみたいにすとんと落ちてしまう ◎嬉しいような淋しいような、羨ましいような切ないような、苦くて甘い感傷を萌は感じていた ◎ねえ、不幸になることを考えるのは現実で、幸せになることを考えるのは幻想なの? ◎柿崎はきっと、上手に生きるコツを知っている。他人に不快感を与えたり、人生を放り出すようなこともしない。そして、たぶんそんな自分に少し失望している ◎夜はいつだって、朝を連れてくる約束を必ず果たす。だから、人は安心して眠りにつける ◎女はいつだって、女であるということですでに共犯者だ ◎我慢している女はみんな貧乏臭い顔をしている ◎男が結婚していると言う事実は、どこかで安心感を連れてくる

ほわほわさんの感想・評価

直接的な表現は、どことなく他人行儀な印象にも感じる。こんなにもストレートに迷いなく描かれると、先手を取られたというか、“やられた”という悔しさがある。 変に勘ぐったり想像した自分が恥ずかしくなる。粘性のないサラッとしたタッチは、文章を物語を人を見る邪魔をしない。まるでこれは必要な要素だから書いてるだけですよ、と言われているようだ。その姿勢を終始貫いているからか、読み終わったあともスッとした爽快感が強く残る。重くのしかかることなく、第三者的立場から対照的な人生観を学んだことで、自分の人生を歩く足取りが明日から少し軽くなるような。 読者が第三者的立場を感じる裏には、作者自身がこの真逆とも取れる2人の人生の進み方を深く理解していることが感じられる。つまり、この登場人物は作者そのものなんじゃないか?すべて原体験が存在するんじゃないか? それほどのリアリティをこの温度加減で表せる筆者は、どんな人生をいかなる信念で歩んできたのだろう。そんな興味を抱かせるほどに、萌とるり子の人格がはっきりと確立している。 くどくない、でも世論も私見も織り込んだ文章構成がとても気持ち良かった。

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