本当はちがうんだ日記
穂村 弘
集英社
2008年09月
概要
この世に生まれて四十数年、いまだ人生リハーサル中。 冴えない自分にもいつか輝く人生の本番が……と思っているうちに、老眼で足がもつれ鼻毛は白髪の四十男に! さあ、どうする? 妄想力全開、ヘンで笑える傑作エッセイ。
ステータス
読んだ
メモ
◎すべては我々に固有の現実圧のなかで「自然に」処理されてなんとかなっている ◎ 人間界のなかで、あだ名は免疫機能のようにその人を守るのだと思う ◎「女」という名の、つるつるの絶壁だ ◎圧倒的な絶壁を見上げたまま、私は丸顔を歪めていた ◎ひとは追い詰められると優先順位が狂う生き物なのではないか ◎座禅も滝もなしで人間の意識をそんなにも高めてしまう(?)結婚というものを、私は心底おそろしく思った ◎髭とあっかげんは緩やかな比例関係にある ◎「やっぱり」なのにショックを受けるのは変…
◎すべては我々に固有の現実圧のなかで「自然に」処理されてなんとかなっている ◎ 人間界のなかで、あだ名は免疫機能のようにその人を守るのだと思う ◎「女」という名の、つるつるの絶壁だ ◎圧倒的な絶壁を見上げたまま、私は丸顔を歪めていた ◎ひとは追い詰められると優先順位が狂う生き物なのではないか ◎座禅も滝もなしで人間の意識をそんなにも高めてしまう(?)結婚というものを、私は心底おそろしく思った ◎髭とあっかげんは緩やかな比例関係にある ◎「やっぱり」なのにショックを受けるのは変だ、と思いつつショックを受ける ◎掘出液(掘出物をみつけたときに耳の下あたりから噴き出す液のこと) ◎装幀そうてい(書物を閉じて、表紙・扉・カバー・外箱などをつけ、意匠を加えて本としての体裁を飾り整えること) ◎世界の闇の中で、ふたりは本当に「大丈夫」なのだ ◎諧謔かいぎゃく(ユーモアのきいた洒落や冗談のこと。ここでは、笑いと冷静な批評精神)
ほわほわさんの感想・評価
「整形前夜」のように各章ごとに思考回路の大きな違いがなく、「もしもし、運命の人ですか」に近いものを感じた。 タイトルにある通り、穂村さんの日常生活の根源にあるなにかを懇切丁寧に説明してあるイメージ。本来なら会ったこともない作者のこれほどまでに偏った持論展開を読んでいるんだろうと手が止まりそうだが、なんせ面白い。タイトルから内容のイメージを膨らませるが、想像を遥かに超える歪さについつい笑みが溢れる。〝お前が言うな!〟のツッコミ待ちなのかと思うほどに、他人への意見は非常に客観的かつ的を得ていることが多い。 でもその意見は形を変えて作者に通ずるものがあったり、世の常に倣ったものだったりする。分かってはいるけど変えられない自分の姿を通して世間の不条理・差異に切り込む手法の巧さは一級品。 “一般的には”羨ましがられる状況や出来事でも、ほむほむこと穂村さんにかかれば“怖い”“恐ろしい”という感情に置き換えられる。その変換機能は幼い頃から養われていたようで、本当に日常の小さな小さな取るに足りない場面が鮮明に記憶収納されている。当たり前に疑問を呈する、常識の倒錯を試みる、逆説的に自身のベースを整えていく。 ひとつひとつにとことん向き合い脳みそを24時間フル稼働させた結果、あたりの熱量にエラーの赤ランプがずっと表示されている、そんな危機感を私に与えてくれる。 “当然”に和合・迎合しない作者を、絶滅危惧種として是非保護・研究対象にしてほしい。
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