ネオノミコン
アラン・ムーア/ジェイセン・バロウズ/柳下毅一郎
国書刊行会
2021年10月26日頃
概要
◆言葉が世界を書き換えるーー物語の魔術師にしてアメコミ界の帝王アラン・ムーア版クトゥルー神話全四部作ついに刊行! ◆人間をチューリップ型に切り裂く異様な殺人事件、古い教会を改築したクラブに蔓延する謎の白粉……頻発する怪事件を解決すべくFBI捜査官メリルとゴードンはマサチューセッツ州セイラムのオカルトショップに向かうが……ラヴクラフトの内なる深淵に迫り、時空を覆す宇宙最凶の暗黒神話、ここに始まる!【2012年ブラム・ストーカー賞グラフィック・ノベル部門受賞作】 ◆アメコミ界の金字塔『ウォッチメン』の著者にして、アメコミ史上最重要作家であるアラン・ムーアが、H・P・ラヴクラフトとクトゥルー神話作品の従来のイメージを鮮やかに刷新することに挑んだエポックメイキングなシリーズの第1作。 ラヴクラフトは、1890年アメリカのロードアイランド州プロビデンスに生まれ、クトゥルーをはじめとする地球外生物によるコズミックホラー(=宇宙的恐怖)に満ちた作品群を書いたホラー作家。ラヴクラフトは自身が作り上げた恐怖の神話体系を、当時の作家たちにシェアードワールドとして解放した。この試みにより、さまざまな作家により物語が書き継がれていくこととなった。またラヴクラフトの評価は年々高まっており、今では世界中にファンがいる。 現在においてもクトゥルー神話の世界観は小説や映画、ゲームなどさまざまな分野においてシェアされ続けており、新たな作品群を生みだしながらあらゆるジャンルに多大な影響を与えている。本シリーズも、このようなクトゥルー神話作品のひとつであり、アラン・ムーアが、アメコミにおいてラヴクラフトの新たなる再評価をすべく、クトゥルー神話作品最大の魅力であるコズミックホラーの本質を問いかけてくる画期的な作品となっている。 【目次】 ◆中庭 中庭1 中庭2 ◆ネオノミコン 第1章|狂気の館にて 第2章|アメリカからの影 第3章|彼方の言葉 第4章|内に潜むもの ギャラリー 訳注 ◆中庭 中庭1 中庭2 ◆ネオノミコン 第1章|狂気の館にて 第2章|アメリカからの影 第3章|彼方の言葉 第4章|内に潜むもの ギャラリー 訳注
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クトゥルー神話を題材としたコミックで現代編『ネオノミコン』と過去編を含む最終編『プロビデンス』三部作の計4冊からなる。 『プロビデンス』全体を通してラヴクラフト作品のパロディで構成されているためファンはこちらの方が楽しんで読まれるだろうが、しかし単なるパロディにとどまらずラヴクラフトとクトゥルー神話の、まさしくあらゆるものを呑み込んで『ネオノミコン』の物語が神の摂理の下へと集約に向かっていくさまは驚嘆に値する。アメリカン・コミック調の絵は時に恐ろしくも神秘的で、日本人のぼくには新鮮に映ったのもある種の効果かもしれない。 ただやはりファン向けの小ネタが多いほか、一部猟奇的であったり露骨な性描写を含んでいるために手放しでおすすめはできない。『プロビデンス』の主人公の名前がロバート・ブラックであると聞いてほくそ笑む人なら是非読むべきだ。 しかし、このような新しく良質なクトゥルー神話に出会えたのには喜びを禁じえないというのが正直な感想でもある。まさしく「くとぅる なふるふたぐん」だ。過去も未来にもそうあらんことを。
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