クトゥルー神話を題材としたコミックで現代編『ネオノミコン』と過去編を含む最終編『プロビデンス』三部作の計4冊からなる。 『プロビデンス』全体を通してラヴクラフト作品のパロディで構成されているためファンはこちらの方が楽しんで読まれるだろうが、しかし単なるパロディにとどまらずラヴクラフトとクトゥルー神話の、まさしくあらゆるものを呑み込んで『ネオノミコン』の物語が神の摂理の下へと集約に向かっていくさまは驚嘆に値する。アメリカン・コミック調の絵は時に恐ろしくも神秘的で、日本人のぼくには新鮮に映ったのもある種の効果かもしれない。 ただやはりファン向けの小ネタが多いほか、一部猟奇的であったり露骨な性描写を含んでいるために手放しでおすすめはできない。『プロビデンス』の主人公の名前がロバート・ブラックであると聞いてほくそ笑む人なら是非読むべきだ。 しかし、このような新しく良質なクトゥルー神話に出会えたのには喜びを禁じえないというのが正直な感想でもある。まさしく「くとぅる なふるふたぐん」だ。過去も未来にもそうあらんことを。
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アラン・ムーア/ジェイセン・バロウズ/柳下毅一郎
国書刊行会
ISBN: 9784336072689
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