本の感想・レビュー
落語速記はいかに文学を変えたか

落語速記はいかに文学を変えたかの感想・レビュー

櫻庭 由紀子

淡交社

ISBN: 9784473045867

読者の感想・読書記録

ブックミーに投稿された公開の読書記録です。感想はそれぞれの読者の意見です。

けさん

今当たり前のように読書体験を享受できていることも、歴史を知るといかにありがたいことかが分かる。 今私たちが口語体での本を楽しめているのは、「二葉亭四迷の言文一致運動のおかげ」と学校で教わる。ただ、よくよく考えれば分かることだけど、書き手がいくら文体を変える運動をしても、文語体で慣れている読み手側が口語体を受け入れられない限りは言文一致になり得ない。言文一致運動の中で「読み手がどのように口語体の文章を受け入れるようになったのか」と民衆側の文化を知れることは面白い。そして落語の貢献度はすごい! また、自分は映画好きでもあるんだけど、最近「映画のネタバレや感想レビュー動画を見て、映画を見に行かない人が増えている」ことが映画界で問題になっている。 昨今のファスト思考が問題視されているけど、今作を読むと「歴史は繰り返すんだなあ」とつくづく感じる。 落語も、落語速記が出回ってから寄席に行く人は減ってしまったという。速記を読むことだけで楽してしまうから、寄席のハードルが上がってしまったんですね。落語単体で見たら嘆かわしいことだけど、ただそのおかげで口語口調の文章への抵抗感がなくなり、現代文学が急速に広まった。 映画も観ない人が増えていく代わりに、相互に影響し合って他の文化が栄えていくようになるのかな。

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