女性の角田さんと男性の穂村さん。2人がそれぞれの性別を代表する気性の持ち主かと言われると疑問だが、それでも男女の感覚の違和は存分に伝わってきた。むしろ男の中の男、女の中の女ではないからこそ普遍性の高い違和と共感が成立している気さえする。理解できる部分や疑問点はテーマを超えて引用・反論し、さらに私見を加えていく。読み進めていくうちに確証のテーマはあくまで区切りの意味であり、実際には2人で長々と話しているのを見学しているような気分になってくる。背表紙にある“恋愛考察エッセイ”という言葉に合点がいった。こんなにも興味をそそられる魅力的なエッセイがあったとは…もったいないことをしていたなぁと思う。テレビやラジオでも対談形式のインタビューや討論をよく目に(耳に)するが、ここまで惹かれない。なぜだろうと考えたときに、この2人があまりにも繊細で細やかな具体例と言葉の描写を有しており、さらにそれらを一般的事象に昇華する速度が速い点にあると感じた。よくもまぁそんなに昔のことを昨日今日の出来事のように状況まで説明できるな、とわたしは思ってしまう。単に記憶力の差なのか、その時々の感覚に敏感なのか、はたまたその都度忘れないよう記録を取っているのか、理由は不明だが、トーク展開に分かりにくさや消化不良が生じないのはさすがプロ。それなりにくだけた言い回しの中に感性の良好さと同時に双方尊重し合う心持ちが垣間見えるのもまた良い。
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角田 光代/穂村 弘
河出書房新社
ISBN: 9784309413266
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