法隆寺の秘仏、夢殿の救世観音。 それに纏わる人々の胸中に触れる話だった。 廃仏毀釈の嵐が吹き荒れる中、皆それぞれの思惑をもって夢殿の扉に手を掛けた。 そしてその存在感に圧倒された。 けれど秘仏は『ただそこに在るだけ』なのだ。 その笑みに何を見出すかに、それぞれの人生が見えた気がした。 いつの時代も、仏への祈りを通じて、人々は己の中の何かと向き合ってきた。 激動の時代の中にあっても、救世観音は変わらずに、ただ衆生を見つめている。 それこそが、人々が祈り求めてきた救いの形なのかもしれない。
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永井 紗耶子
文藝春秋
ISBN: 9784163919317
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