秘仏の扉
永井 紗耶子
文藝春秋
2025年01月08日頃
概要
200年の間、固く閉ざされていた扉。 それはフェノロサと岡倉天心の手によって開かれたーー 飛鳥時代に聖徳太子の姿を模して造られたと言われる、 法隆寺夢殿・救世観音像。 その厨子は鎌倉時代以降、固く閉ざされ、 扉を開けば直ちに仏罰が下ると信じられていた。 「金のために秘仏を見せるというのか」 「支援がなければ、法隆寺はもう保てません」 国内では廃仏毀釈の嵐が吹き荒れ、 しかし、欧米では東洋美術が評価され始めている。 近代化と伝統の狭間で揺れる明治時代に、 秘仏開帳に関わったものたち、それぞれの思いとは。 直木賞作家が描き出す歴史群像劇の傑作。
ステータス
読んだ
ましろさんの感想・評価
法隆寺の秘仏、夢殿の救世観音。 それに纏わる人々の胸中に触れる話だった。 廃仏毀釈の嵐が吹き荒れる中、皆それぞれの思惑をもって夢殿の扉に手を掛けた。 そしてその存在感に圧倒された。 けれど秘仏は『ただそこに在るだけ』なのだ。 その笑みに何を見出すかに、それぞれの人生が見えた気がした。 いつの時代も、仏への祈りを通じて、人々は己の中の何かと向き合ってきた。 激動の時代の中にあっても、救世観音は変わらずに、ただ衆生を見つめている。 それこそが、人々が祈り求めてきた救いの形なのかもしれない。
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