レイモンド・チャンドラーの超名作『長いお別れ』の公認続編ということで読んでみました。 著者はベンジャミン・ブラック。 地球の回転がとまったと思われるような暑い夏だった。フィリップ・マーロウの事務所に依頼人として美女が訪ねてくる。クレア・キャヴェンディッシュと名乗る。行方不明である愛人であるニコ・ピーターソンを探して欲しいという。クレアは資産家であるラングリッシュ家の娘であった。金持ちの美貌の娘が、なぜ自分の事務所を?という疑問を抱きつつも、マーロウは仕事に取り掛かる。 クレアより教わったニコの自宅を訪れるも当然不在。近くに住む怪しい老人より、いつも違う女性を連れていたこと、またメキシコ人の二人連れもニコを探していたことを知る。 市警本部殺人課のグリーンに電話して、ニコについて聞いてみると、翌朝折り返しの電話があり、彼の所在がわかる。ニコは轢き逃げに遭い、既に死んでいると言うのだ…。 何が本当なのか。クレアはどこまで知っているのというのか。真相を探るマーロウは深い闇に包まれていく。 話はとても面白いです。分厚い文庫本ですか、やはりこれも一気に読み終えました。チャンドラーの模倣本としては悪くない出来、悪くない文体です。 ですが、やはり何か違う。チャンドラーとは違う。マーロウの性格が微妙に違う。マーロウはこんな愚痴っぼくないし、納得しないし、もっともっともっと意地っ張りで優しいです。 そして、『長いお別れ』に出てくるテリー・レノックスの性格もまるで違う。どれほど堕ちても彼はこんなふうに卑しくなることはないだろうと思います。きっとテリーなら、長いお別れをしたテリーならこんなふうにマーロウを利用することはなかった、だろうと。 ミステリやハードボイルドとしての面白さは担保されているのですが、『長いお別れ』の続編としては私は受け入れられませんでした。 全くの別作品としと読むのならアリ、だと思います。
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ベンジャミン・ブラック/小鷹 信光
早川書房
ISBN: 9784150704698
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