薄雪黒い瞳のブロンド
黒い瞳のブロンド

黒い瞳のブロンド

ベンジャミン・ブラック/小鷹 信光

早川書房

2023年06月06日

概要

マーロウのオフィスを訪れた女は、消えた愛人の捜索を依頼する。だが、彼はすでに死んだはずで……『ロング・グッドバイ』公認続篇

ステータス

読んだ

メモ

地球の回転がとまったと思われるような暑い夏だった。フィリップ・マーロウの事務所に依頼人として美女が訪ねてくる。クレア・キャヴェンディッシュだ。行方不明である愛人であるニコ・ピーターソンを探して欲しいという。クレアは資産家であるラングリッシュ家の娘であった。金持ちの美貌の娘が、なぜ自分の事務所を?という疑問を抱きつつも、マーロウは仕事に取り掛かる。 クレアより教わったニコの自宅を訪れるも当然不在。近くに住む怪しい老人より、いつも違う女性を連れていたこと、またメキシコ人の二人連れ…

地球の回転がとまったと思われるような暑い夏だった。フィリップ・マーロウの事務所に依頼人として美女が訪ねてくる。クレア・キャヴェンディッシュだ。行方不明である愛人であるニコ・ピーターソンを探して欲しいという。クレアは資産家であるラングリッシュ家の娘であった。金持ちの美貌の娘が、なぜ自分の事務所を?という疑問を抱きつつも、マーロウは仕事に取り掛かる。 クレアより教わったニコの自宅を訪れるも当然不在。近くに住む怪しい老人より、いつも違う女性を連れていたこと、またメキシコ人の二人連れもニコを探していたことを知る。バーニーズという飲み屋でも探りを入れるが、同じことを店主のトラヴィスに聞く。 市警本部殺人課のグリーンに電話して、ニコについて聞いてみると、翌朝折り返しの電話があり、ニコは轢き逃げに遭い、既に死んでいることがわかる。 クレアの大豪邸に報告にいくマーロウ。クレアの夫であるリチャードにも会い、クレアはマーロウに真珠を探してもらっているとリチャードには伝える。マーロウがニコの死を伝えると既にクレアは知っていたという。しかし、事故の後もクレアはニコをロスアンゼルスで見かけたという。そのためマーロウ引き続いてニコを探すことになる。マーロウに依頼した理由は、リンダ・ローリングの紹介があったからだ。マーロウとクレアは、クレアの家を散策しながら、そこでキスをしてしまう。 マーロウはロスアンゼルスの郡検死監事務所に行き、ニコの死の状況を確認する。ニコはしっかりと轢死していた。グリーン警部に電話し彼に一杯を奢り、轢死事件の経緯を確認するマーロウ。ニコが事件にあう直前に行っていたと思われるザ・カウィーア・クラブという高級酒場のマネージャーの名前を教えてもらう。 ザ・カウィーア・クラブに行き、マネージャーのフロイド・ハンソンに会うマーロウ。轢かれたのはニコで間違いないという。直接ニコの死体を見つけたメアリー・ストーヴァーの名前を教えてもらう。去り際に、おそらくはザ・カウィーアクラブで働いていると思われる小男がマーロウに近づいてきて、フック船長に気をつけろと忠告される。 オフィスに戻ったマーロウ。電話があり、正午にリッツ・ベヴァリーホテルで、クレアの母であるドロシア・ラングリッシュが待っているという。 ホテルでドロシアと面会をする。ドロシアは、マーロウに、本当はクレアに何を頼まれたとかと質問する。答えないマーロウ。彼女からは自分の夫の死に様や、香水の製造方法について教わる。 次に昔馴染みのハル・ワイズマンに電話をし、女優のマンディ・ロジャースを紹介してもらう。ニコはマンディの仕事を斡旋していたとクレアに聞いていた。ニコには以前マンディはメキシコに行かないか誘われたことがあったと言う。だか、ニコは単なる仕事仲間に過ぎなかったと。 今度はニコの家に侵入するマーロウ。家の中に手掛かりはない。侵入中にニコの妹のリン・ピーターソンに遭遇する。その後、メキシコ人の二人連れもニコの家に入ってきて、マーロウは殴られ、意識を喪失する。リンは拉致される。 自宅に帰り、ジョー・グリーンと保安官のバーニー・オールズに事の顛末を報告する。バーニー、自宅に来てくれ、事情を聞いてくれる。行き帰りに今度はクレアがマーロウの家に来る。クレアと抱き合う。クレアとの情事のあと、君を信じていいかわからないと言ってしまうマーロウ。クレアは怒って帰ってしまう。そのあと再びバーニーから電話を受ける。エンシーノ貯水池にてリンの死体と遭遇する。 数日後、リンの葬式の後、オフィスに行こうとしたマーロウはマフィアのルー・ヘンドリクスの出迎えを受ける。クレア同様に、ニコの行方の捜索を頼まれる。ニコのもっているスーツケースを探しているのだと言う。 家に帰ったマーロウ。今度はクレアからの電話が鳴る。彼女の邸宅に赴くマーロウ。クレアの義弟エヴァレットがヘロインの過剰摂取で倒れていた。クレアは、ニコから麻薬を仕込んでいたことを告げる。エドワード・ローリング医師を呼び、マーロウはエヴァレットを診察してもらう。 誰がルー・ヘンドリクスにマーロウがニコを探していることをタレ込んだのか気になるマーロウは再びフロイドハンソンを訪ねる。フロイドハンソンの勧める薬には睡眠薬が盛られており、マーロウは昏倒する。目が覚めたとき、ザ・カウィーア・クラブのプールの側で椅子に縛られていることがわかる。段取っているのはカウィーア・クラブのオーナーであるキャニングだ。リンを殺したメキシコ人の2人も捕まっており、虐待の末殺される。キャニングはニコとリンの実の父親であったことを告白する。キャニングは誰からの依頼でニコを探しているのか言えと言う。マーロウは、依頼人のことを除き、包み隠さず言うがなにかを隠しているとキャニングは思い、マーロウの殺害を指示する。マーロウは機転をきかし、執事のバートレットを撃ち、ハンソンとキャニングにプールの中に入れと言う。マーロウが館から抜け出し、バーニーに状況を知らせる。バーニーがザ・カウィーアクラブに踏み込んだ時、ハンソンもキャニングも既に逃げた後であった。ハンソンはいずれ捕まり、独房で首を吊って自殺する。バートレットはマーロウに撃たれたことが原因で亡くなる。人を撃ったショックにより、マーロウは深酒をして二日酔いとなる。 マーロウはクレアより手紙を受け取り、彼女に会いに行く。カウィーア・クラブであったことなどを全て語り、ニコについて本当に知っていることを教えてくれと言う。クレアは時間をくれと答える。クレアには想い人がいるようだ。意気消沈するマーロウ。そこに電話がかかってくる。ニコ・ピーターソンだ。 ニコとはユニオン・ステーション駅で会うことにした。マーロウにスーツケースをルー・ヘンドリクスに送ってくれないか頼む。中身はヘロインだと言う。彼はそれをメンディ・メネンデスより預かり、くすねようとしていた。そのため、ハンソンらと共謀し、死んだように見せかけようとしていた。クレアとは付き合ったことがないと言う。 スーツケースを預かるマーロウ。マーロウはスーツケースはバーニーに渡した。クレアに電話をし、彼に次の便の飛行機に乗れと伝言を頼む。 1日おいてクレアから電話がかかってきて、彼は着いた言う。 クレアの邸宅に夜に赴くマーロウ。そこでマーロウはテリー・レノックスに出会う。彼は卑しい人間に身を落としていた。金を使い果たし、メンディ・メネンデスの麻薬の仕事を手伝っていた。麻薬を持ち出したニコをマーロウに探すようにクレアに指示を出したのは、テリーであった。また、メキシコ人2人はメンディの手先であったと言う。スーツケースをバーニーに渡したと伝えるとショックを受けるテリー。 そこにクレアの弟のエヴァレットがピストルを持って現れる。エヴァレットはテリーが自分を麻薬に嵌めたと恨んでいた。いざこざの中でエヴァレットはテリーを撃ち、テリーは死ぬ。愛する人を失ったクレアはエヴァレットを許さないと言う。 マーロウはグリーンに電話をして、後始末を頼む。マーロウはヴィクターズに行き、ギムレットを飲む。テリーの腐敗ぶりに思いを馳せる。またクレアを失ったことを嘆く。とうとうクレアはマーロウに報酬を払わずじまいであった。

薄雪さんの感想・評価

レイモンド・チャンドラーの超名作『長いお別れ』の公認続編ということで読んでみました。 著者はベンジャミン・ブラック。 地球の回転がとまったと思われるような暑い夏だった。フィリップ・マーロウの事務所に依頼人として美女が訪ねてくる。クレア・キャヴェンディッシュと名乗る。行方不明である愛人であるニコ・ピーターソンを探して欲しいという。クレアは資産家であるラングリッシュ家の娘であった。金持ちの美貌の娘が、なぜ自分の事務所を?という疑問を抱きつつも、マーロウは仕事に取り掛かる。 クレアより教わったニコの自宅を訪れるも当然不在。近くに住む怪しい老人より、いつも違う女性を連れていたこと、またメキシコ人の二人連れもニコを探していたことを知る。 市警本部殺人課のグリーンに電話して、ニコについて聞いてみると、翌朝折り返しの電話があり、彼の所在がわかる。ニコは轢き逃げに遭い、既に死んでいると言うのだ…。 何が本当なのか。クレアはどこまで知っているのというのか。真相を探るマーロウは深い闇に包まれていく。 話はとても面白いです。分厚い文庫本ですか、やはりこれも一気に読み終えました。チャンドラーの模倣本としては悪くない出来、悪くない文体です。 ですが、やはり何か違う。チャンドラーとは違う。マーロウの性格が微妙に違う。マーロウはこんな愚痴っぼくないし、納得しないし、もっともっともっと意地っ張りで優しいです。 そして、『長いお別れ』に出てくるテリー・レノックスの性格もまるで違う。どれほど堕ちても彼はこんなふうに卑しくなることはないだろうと思います。きっとテリーなら、長いお別れをしたテリーならこんなふうにマーロウを利用することはなかった、だろうと。 ミステリやハードボイルドとしての面白さは担保されているのですが、『長いお別れ』の続編としては私は受け入れられませんでした。 全くの別作品としと読むのならアリ、だと思います。

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