なんとも言えない
元の読書記録を見るツナグの感想・レビュー
辻村 深月
新潮社
ISBN: 9784101388816
読者の感想・読書記録
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久しぶりの辻村さん。 良かった。
元の読書記録を見る毎度すごい
元の読書記録を見る辻村深月さんの『ツナグ』 本作の世界では、ある特殊な職業として、使者(ツナグ)が存在します。使者は、生きている人(依頼人)と亡くなった人(死者)との再会を、一生に一度だけ実現させることができます。死者の側にも、その面会を了承する必要があり、その機会を一度しか持てません。 物語は、複数の依頼人たちの物語を連作形式で描いていきます。 「アイドルの心得」 依頼人、平瀬愛美の視点で語られます。平瀬愛美は、かつて路上でアイドルのサヲリに救われた経験があり、心の支えとしていました。サヲリは突然死してしまい、愛美はその死後、心の拠り所を失っていました。依頼を受けた使者は、サヲリの了承を得て、愛美とサヲリの再会をセッティングします。サヲリが彼女に会う理由とは。 「長男の心得」 年老いた母親の余生を支えながら、息子・畠田靖彦は母にがん告知をしなかったために心の重荷を抱えていました。彼は母の死後、使者に母との対話を願い、母と面会します。靖彦が面会場所の部屋に入ると、母が迎えます。頬に触れられ、靖彦の目に涙がにじみます。頑固な中年男性の語る言葉とは。 「親友の心得」 嵐美砂と御園奈津は友人でした。同じ演劇部に所属し、美砂は1年生の頃から役をもらって演じてきた。美砂は素直な奈津を見下していました。3年生が抜けたときの劇にて、美砂の他に奈津も主役に立候補し、オーディションで奈津が選ばれました。次第に嫉妬心が高まっていく美砂は、奈津が怪我をすればいいと思うようになり、12月の帰り道、凍った路面で奈津がスリップすることを願って、坂道の水道をひねりました。翌朝、奈津は坂の途中で自転車ごと滑り落ち、下の道で車と衝突して亡くなりました。美砂が使者の奈津に伝えようとしたこととは。 「待ち人の心得」 9年前の春、功一は飲み会の帰り、強風にあおられた少女が看板にぶつかり、怪我したのに出くわし、助けます。日向キラリと名乗った少女の律儀さに功一は次第に好意を抱くようになり、やがて二人は同棲を始めます。出会って2年後、功一のプロポーズを受け入れたキラリは、バイトの友だちと旅行に行くと言って出かけたまま、帰ってきませんでした。その後もキラリの手がかりは全くつかめませんでした。キラリはいったいどこに行ったのか。 「使者の心得」 これまでの4章にて、依頼人と死者を繋いできた歩美自身の物語です。歩美の祖母は、入院したのを機に使者の仕事を歩美に継いでもらいたいと言い出し、歩美はそれを了承します。使者の役目と仕組み、そしてその苦しみとは。 とても読みやすい小説です。サクサク読めるので1日で読めてしまいます。 面白いのは「親友の心得」でしょうか。他の作品はみな心温まる話となっているのですが、この短編は主人公嵐の奈津に対する劣等感と、罪を隠そうとする浅ましさ、そして全てを見透かされる人間の惨めさなどが表現されています。ミステリ仕立てにもなっていて、辻村さんの本領発揮といったところなんじゃないでしょうか。
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