「あの人はあの後どうしたんだろう、どうなったんだろう」というちょっとした疑問に答えてくれるような本でした。 前作で泰麒が人を殺めたことについては、私も麒麟という生き物が人を殺めたという見方しかしていなかったので、陽子の「あちらではどんな理由があれ人殺しはしてはいけないことだった。そんな世界で生きていた。」という説明に目から鱗でした。そういえば陽子も最初は、人どころか妖魔を切ることすら嫌がっていたし、私もそのときにその場面を読みながら陽子の気持ちにすごく共感していたのに、いつのまにか陽子が戦うことも当然のように感じてしまっていました。そう考えると、今まで思っていた以上に泰麒は苦しんでいるのだということが理解できて読んでいて辛かったです。そしてあのときの陽子の描写が実は泰麒の苦しみを描く上での伏線にもなっていたのではと思うと、いったいいつからどこまで考えられていたのだろうとものすごく驚きました。 琅燦に関しては、良くも悪くも自分の気持ちを素直に人に伝えてしまう性格なんだなと思いました。その結果が驍宗の昇山であり、阿選の謀反なんだな。でもこの話に出てくる事件の後だと思うと、反省したように見えて何も成長していないじゃないかと腹が立ちました。
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小野 不由美
新潮社
ISBN: 9784101240664
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