本の感想・レビュー
犬のかたちをしているもの

犬のかたちをしているものの感想・レビュー

高瀬 隼子

集英社

ISBN: 9784087444278

読者の感想・読書記録

ブックミーに投稿された公開の読書記録です。感想はそれぞれの読者の意見です。

こめぱんさん

好きな人が犬だったらよかったのに、と思ったことがある。忠実さの象徴としてではなく、それなら愛が健全に作用するとおもった。異性と関わるとどうしても異性愛や家族愛、それに伴う制約や作法、行為がぐちゃぐちゃになって健全にいることがありえないとさえ感じてしまう。愛を歪めているのは人間でいるが故だと思ってしまう。 高瀬さんの本ではそんな歪みのない純粋な愛を目指す姿が描かれている。登場人物は人間でいることや男女でいることの常識に押さえつけられ苦んでいる。人間である以上、そんな歪みのない愛などやっぱり現実としてあり得ないことなのだともおもう。それでもどうにか実現できないかと願ってしまう

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Ayumiさん

高瀬隼子さんの本を読むのは2冊目。こちらがデビュー作ということだけど、デビュー当時から独特の小説全体に漂うモヤモヤとした雰囲気は健在だったのですね。 すっきりとした文章の行間に彼女の持ち味でもある「行き場のないフラストレーション」や「常識から逸脱した考えを持つ難しさ」みたいなものが染み出してきて、読み手を得体の知れない不安感で包む。 夫の浮気相手に「子供もらってください」と言われた主人公の薫が、そんな突飛な願い(そして浮気した夫)にどう向き合うか、というお話。子どもを特別欲しいと思わないという自分の気持ちと、そんなこと言わなかったのに密かに欲しいと思っていた夫の願いを尊重したいという気持ちの間で揺れる。 装飾の少ない文章なのに、説明的にならず、なんだかその場面を目の前で見ているような気にさせてくれる描写の巧さもさすがです。

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