"なぜ、人は小説を読むのか" 非常に小説的な展開の中で、小説を読むことについて深く掘り下げる作品。 終盤にかけて描かれる内と外の表現が素晴らしいし、ラスト数十ページの加速度が半端ない。 読了後の宙に浮いたような感覚がクセになる。 全て読んだ上で、もう一度読みたくなる作品。
元の読書記録を見る小説の感想・レビュー
野崎 まど
講談社
ISBN: 9784065373262
読者の感想・読書記録
ブックミーに投稿された公開の読書記録です。感想はそれぞれの読者の意見です。
いま一番好きな本は、と聞かれたら『小説』だと答えます。 本に没頭するあまり、気がついたら辺りが暗くなっていたことはありますか。 本が好きで、実際に文章を書いてみたら、理想と現実の差に愕然としたことはありますか。 幼いころ感じた、図書室のうららかな日差しを覚えていますか。 小さいとき、大人に「本をたくさん読んでえらいねえ」と言われて、誇らしい気持ちになったことはありますか。 大人になって、なぜ本を読むのか、実用書でなくて物語を読むのかと自問自答したことはありますか。 この本は、そんな人たちのための本に他なりません。 他のどの言葉は届かなくても、この本が素晴らしい本だということだけは、どうか届いてほしいと思います。 野﨑まど氏の『小説』が我が家の本棚にある幸せを、私は今日も噛み締めています。
元の読書記録を見る人間讃歌だった 読後は精神の自由、というイメージを思い浮かべた。 夜と霧でも、精神の持つ無限の力・自由が生きるエネルギーになる(自分の解釈です)、という旨の記述があったが、本作からも同様のものを感じた。 小説と繋がる要素が想像し難い途中の壮大な前振りに、ちゃんと説得力があって良かった。 自己肯定感の低い人にほどオススメできる一冊かもしれない。特に悩める若い世代にはぜひとも手にとってほしい一冊といえるだろう。 本屋大賞、期待してます。 「お前の精神に貸したものを、現実に返せ」 感想内容とはズレるが個人的に刺さった箇所。
元の読書記録を見る多くの人が称賛する後半部分よりも、淡々と紡がれる前半部分の方が私には刺さった。 内海集司が本の魅力へと引き摺り込まれていく過程や葛藤に共感してしまった。 読むだけで何も生み出さない私だけれど、それでも本は私の内側を押し広げてくれる。 ページをめくるたびに私の中の海は、水深を増していく。 ただ、「読むだけでいいんだよ」と書き手側から伝えられるのは、書き手側からの赦しのように感じてしまって、捻くれ者には少し受け入れ難かった。 誰かに赦されたから読み手に専念するのではなく、ただ読みたいから読む。それだけでいいと、自分自身で定義したい。 答えを得る前の内海集司の方が、読書に対しては真摯だったように感じる。 きっとあれは、かけがえのない相手に導かれて辿り着いた答えだからこそ、内海集司には意味があったんだろうな。
元の読書記録を見る小説を読むことへの哲学。 本を愛する人は、読書に救われ読書に呪われている。私もその一人。
元の読書記録を見る読み終わって一晩、どんな言葉でこの『小説』という作品を語るべきかを思案した。 けど、答えは見つからなかった。 読みながら、自身が昼休みの図書館で読書したことを思い出した。 とても、感情移入した。 そうりゃもう深夜一時に大泣きするくらいには。 読了後のこの本に出逢うことができて、読むことができて本当に良かったと思った。 あまり語るとネタバレになってしまうのでこのあたりで言葉は止めてしまうけれど、読書が好きな人には本当におすすめだと思う。 是非、その世界をみて欲しい。
元の読書記録を見る遊び仲間から強い勧めで読んだ。 ハードカバーの小説は久々だったが読みやすい文章でスラスラ進み、主人公の葛藤に重なるところもあって何度か考え込んだ。終盤からの展開には「おいおい」と思わされたし読み終わったときの感慨はさほどではなかったが、帯の文を読み、最後の1行を読み直して「こりゃあ嘘かもしれん」とふつふつ思った。多分パラドックスめいたことで矛盾した世界の一つの解釈、同じ一つの終点への過程なのかもしれない。咀嚼するごとに「ああ。いい本だったな」と感じる。 ところでイェイツへの興味もそそられたので今度はぜひ読んでみたいと思った。
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