森鴎外の娘の森茉莉の「贅沢な趣味を持ったお嬢様の貧乏生活」を綴ったエッセイ。 独特の文章につまづきながらも、面白すぎて読み終わりたくなかったほど。自分のことを「牟礼魔利」や「マリア」と読んだり、地名や人名をちょっと変えていたりして、エッセイでありながらどこか小説みたいな不思議な読感。 独特の世界観の中で、質素ながら豊かな生活を送る森茉莉に、現代に生きるわたしたちもインスパイアされる箇所がたくさん。 ちょっと自虐的ながらも「でもわたしはこういう人間なんだもーん」みたいな吹っ切れてる感が清々しい。自分のことを「顔も姿も駄目だが、心とようすだけは美人だと、自惚れているからで」とか「勿論よくよく見れば、争えぬ品位というよりは、のろまな感じが、用をしたことのない人間を、表明しているが」などと自虐的に書いたかと思えば「家事には無能、その上にかてて加えて、贅沢病であるから、生活方法には魔法が必要である」とスカッとするほどの開き直り。努力ではなく魔法が必要というのが森茉莉。 と思えば哲学的な思想や、おっと思う美しい表現があったりして、飽きずに楽しめる一冊。
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森 茉莉
講談社
ISBN: 9784061961845
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