本の感想・レビュー
月と六ペンス(新訳)

月と六ペンス(新訳)の感想・レビュー

W・サマセット・モーム/行方 昭夫

岩波書店

ISBN: 9784003225424

読者の感想・読書記録

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yunaさん

妻,子ども、仕事。全てを捨てて絵に生きた男の話。主人公の小説家が語り手となり、ストリックランドの生き方を描く。 男は人や通俗的なものに興味関心が一切なく、自身の中に湧き立つ何かに突き動かされるように生きていた。それを表現する方法として絵を描いていた。 敬愛する芸術家に、愛する妻を奪われ、プライドも威厳も持たずただ戻ってきてくれることを乞う姿に同情せざるを得なかった。 家を妻に明け渡したが、結局妻は自殺した。久しぶりに自宅のアトリエに愛する妻のヌードが。絵具落としでキャンバスを突き刺そうとするが、あまりの作品の出来に傷付けることができなかった。嗚咽混じりの叫び声、嫉妬にもがき苦しむ姿に、心が締め付けられた。どうしようもなく許せないが、敬愛してたまらない。彼にとっての美を完全な形で完成させた作品を、穢せない。行き場のない強い感情はどう昇華させれば良いのか。

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