思い出トランプ
向田 邦子
新潮社
1983年05月
概要
浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。おきゃんで、かわうそのような残忍さを持つ人妻。毒牙を心に抱くエリートサラリーマン。やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親などー日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録。
ステータス
読んだ
nanaさんの感想・評価
短編小説が13編収められている。 どの作品も文章から風景、温度、湿度が感じられ、古い作品だが読みやすい。とても映像的な文章を書く作家だと思う。 作者は生前、ドラマ脚本家をしていたそうだ。いまだその才能を惜しむ声を聞く。 静かなドラマのように作品は綴られている。物語の色彩は、やや褪せて映る。 大した事の無い人が「自分の人生はこんな筈じゃなかった」と心の何処かで思っている。 例えばあなたのように。 うんざり。後ろめたい。後悔。 描かれた彼等と、読む私達の間にはほとんど差が無いだろう。
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