葉桜の季節に君を想うということ
歌野 晶午
文藝春秋
2007年05月
概要
「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たしてー。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。
ステータス
読んだ
メモ
40.仕事ができる人間は遊びも上手だといわれるが、それは俺のためにある言葉といえよう。 遊び上手とは、節度をわきまえていることである。午前零時を回る前にグラスを置くし、女と夜明けのコーヒーを飲むようなこともしない。そして毎朝五時に目覚ましを鳴らす。/人間の頭や体は、太陽が出ている時間帯に最高のパフォーマンスを発揮するようにできている。 188.「人生八十年時代の健康設計 医学博士の野口英雄先生」とある。 (単行本は2003年3月出版。いうまでもなく、エセ医者であるが。200…
40.仕事ができる人間は遊びも上手だといわれるが、それは俺のためにある言葉といえよう。 遊び上手とは、節度をわきまえていることである。午前零時を回る前にグラスを置くし、女と夜明けのコーヒーを飲むようなこともしない。そして毎朝五時に目覚ましを鳴らす。/人間の頭や体は、太陽が出ている時間帯に最高のパフォーマンスを発揮するようにできている。 188.「人生八十年時代の健康設計 医学博士の野口英雄先生」とある。 (単行本は2003年3月出版。いうまでもなく、エセ医者であるが。2003年時点では人生八十年時代と謳われていたことに面白みを感じる) 189.だが、野口英雄先生の話術はなかなかのものであった。 (今のところで一番、あーね、と感じるところ。占いと似た感じで、エセ商品を売るときは、否定し切れない事実に嘘を交える。野口先生のある種ありきたりなトークのうまさも、あーね、と感じた。) 222.デジャビュ →240.二年前回想 290.われわれは子供の頃、決して嘘をついてはいけませんと、家庭や学校で耳に胼胝(たこ)ができるほど聞かされるわけだが、その教えを大人になっても律儀に守っている人間がいたとしたら、そいつは正直者とは呼ばれない。ただのバカである。 たとえば、明日のクリスマスを楽しみにしている四歳の娘に、サンタクロースとはアメリカ商業主義の権化であると説くことが、人として正しいといえるだろうか。 341.蓬莱倶楽部の悪行を暴くことができたら、俺は正義の味方と崇め奉られる。そう、主役だ。人生で一度くらい主役を張りたいじゃないか。 400.2025年にはな、男の平均寿命は84、女はなんと、90になるんだってよ。そしてその時には、介護や年金の社会保障費は170兆円にものぼり、国民負担率は50%近くになる。日本は間違いなく沈没するよ。 415.「さっきの元気のいいのはこいつの孫だ」 427.「あたしの本当の名前は古屋節子です」 460.「そう、禿頭の。あいつはああ見えて、現役の高校生なんだよ。」 (叙述トリックが綺麗すぎて、理解できなかった。冒頭から400ページまで、てっきり主人公は30かそこらだろうと思い込んでいた。) 454.当時はヒロポンという商品名で呼ばれていたこの薬が、わが国のめざましい復興の一翼を担ったことは間違いない。かつて覚醒剤は、今でいう栄養ドリンク、あるいはサプリメントのような感覚で使われていたのだ。 458.「一度好きになった人間は、そう簡単に嫌いになれない」 462.ずっと独身だったので、蓄えもそれなりにある。住む家もこうしてある。にもかかわらずシルバー人材センターに登録していろいろな仕事をやっているのは、いろんな世界をのぞいてみたいからだ。/実現可能か不可能かは、やってみてはじめてわかることだ。頭で考えただけで結論を出してしまうやつは、結局その程度の人間でしかない。俺は生きているかぎり挑戦するよ。 「葉桜の季節に君を想うという事」 ・人生の終盤 ・秋 466.花が散った桜は世間からお払い箱なんだよ。せいぜい、葉っぱが若い五月くらいまでかな、見てもらえるのは。だがそのあとも桜は生きている。今も濃い緑の葉を茂らせている。そして、あともう少しすると紅葉だ 467.七十年生きていても、知らないことはたくさんある。知らないことの中には、自分の適性や趣味に合ったことが隠されているかもしれない、それを知らないまま死んでいっていいのか? 俺はやだね 467.会社に尽くしたことと引き換えに、何でもやってやりたくてもやれなくなり、そのうち何をやりたいとも思わなくなった。世間はそれを「大人になる」と称する けれど俺は、情熱を失ったわけでは、決してなかった。一時封印していただけだ。定年を迎え、残りの人生、何をして生きていこうかと考えた時、俺はたまらなく愉快になった。会社という縛りがなくなった今、一日二十四時間一年三百六十五日を自分の好きなようにコントロールしてかまわないのだ。俺は二十歳の頃の自分を取り戻した。やりたいことが多すぎて眩暈がするほどだった。 469.桜の花は本当に散ったのか? 俺の中ではまだ満開だ。丈夫に産んでくれた両親に感謝しよう。 469.花が見たいやつは花を見て愉快に騒げばいい。一生のうちにはそういう季節もある。葉を見る気がないのなら見なくていい。しかし今も桜は生きていると俺は知っている。赤や黄に色づいた桜の葉は、木枯らしが吹いても、そう簡単に散りはしない。
ひろきさんの感想・評価
私は葉桜になりました。 誰も私には気づかないけれど、 私がそう思えばいつだって、 私は満開の桜なのです。 ーーーーーーーーーーーーーーー まるで狐つままれたようなお話。 「世界でいちばん透き通った物語」ほどではないにしろ、映像化は難しいだろう。 タイトルについては賛否あったが、将来をひいては今を後押ししてもらえるような言葉で、個人的には気に入っている。
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