薄雪白夜行
白夜行

白夜行

東野 圭吾

集英社

2002年05月

概要

19年前の大阪の質屋殺し。迷宮入りしたこの事件に関係した少年と少女が歩んだ道は…。絶望の白い光の中、魂の荒野を行く男と女を、叙事詩的スケールで描く傑作ミステリー長篇。 (解説・馳 星周)

ステータス

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メモ

白夜行 第1章 質家の主人、桐原洋介が廃ビルで殺される。刑事、笹垣潤三は犯人探しに乗り出す。 桐原の妻の名前は弥生子。質屋の部下の名前は松浦勇。桐原が殺された時、2人にはアリバイがあった。 笹垣は桐原の当日の足取りを辿る。桐原はケーキ屋によりケーキを買ったあと、西本文代の家に向かっていた。また、途中銀行で百万円を下ろしていた。しかし、文代にはアリバイがある。文代の交際相手である寺崎忠夫には確たるアリバイがなかったが、交通事故で死んでしまう。また、文代もガス漏れの事故で死んで…

白夜行 第1章 質家の主人、桐原洋介が廃ビルで殺される。刑事、笹垣潤三は犯人探しに乗り出す。 桐原の妻の名前は弥生子。質屋の部下の名前は松浦勇。桐原が殺された時、2人にはアリバイがあった。 笹垣は桐原の当日の足取りを辿る。桐原はケーキ屋によりケーキを買ったあと、西本文代の家に向かっていた。また、途中銀行で百万円を下ろしていた。しかし、文代にはアリバイがある。文代の交際相手である寺崎忠夫には確たるアリバイがなかったが、交通事故で死んでしまう。また、文代もガス漏れの事故で死んでしまい、事件は暗礁に乗り上げる。 第2章 雪穂は唐沢家に幼女にもらわれ、青華女子学園中等部の中学生になっていた。通学路では、ガラの悪い大江中学の生徒である秋吉雄一に盗撮されていた。秋吉雄一は、学校で写真を牟田俊之を売りつけていたが、今度は藤村都子の写真を撮ってくるように言われる。雪穂は、同級生の川島江利子と仲良くしていた。 一方、桐原亮司も大江中学の学生となっていた。 秋吉雄一の友人である菊池文彦は、4年前弥生子と松浦勇が連れ添っている写真を入手し、桐原を問い詰めていた。 ある日、雪穂と江利子が塾から帰る途中、都子が何者かに襲われているところを見つける。容疑者として、盗撮をしていた秋吉の名前を雪穂は上げる。芋蔓式に、菊池と牟田の名前も警察に知られ、両名は疑いをかけられる。疲労した、牟田俊之、菊池は、桐原への追及を諦める。 第3章 園村友彦とその友人は、桐原にアルバイトに誘われる。その内容は、既婚女性や少し年齢が高めの女性の性の相手をすることであった。園村友彦は、花岡夕子と桐原を介さず会うことになり、関係を継続していた。夕子は情事の最中急死してしまう。桐原は彼を庇うため、アリバイ工作を行い、彼の代わりに夕子の体内に射精する。工作を引き受けてくれたことに友彦は感謝し、桐原に尽くすことを誓う。また、その最中、西口奈美江も桐原のビジネスに手を貸すことになる。 第4章 雪穂の家庭教師である中道正晴の視点から語られる。中道は雪穂に興味を持ち、雪穂の過去を探る。養母である礼子から生い立ちの話を聞き。また、雪穂の母が亡くなった際にアパートの鍵をあけた不動産屋の田川からも話を伺う。そして、雪穂が実母が自殺したようにみせかけたのではないか、と推理を行う。雪穂は、中道が学校で作っていたゲームのプログラムの入ってるいるテープを自宅に持って来させることで、桐原にコピーをさせる。また、鈴の音に対する文脈から、雪穂は母が死んだ際に持っていなかったと言っている鍵を実は持っていたことがわかる。 第5章 清華女子大に入った雪穂と川島江利子は、ソシアルダンス部に入部する。その場で江利子は篠塚一成に身染められる。交際の中でどんどん綺麗になっていく江利子。だが、ある日の帰り道、睡眠薬を嗅がされ、裸体の写真を撮られる。ショックのあまり篠塚との交際をとりやめる。 第6章 園村友彦と桐原は、キャッシュカードを偽造することで、他人の口座から何度かお金を引き落とすことに成功する。ある日、かれらの事務所にヤクザの榎本宏がやってくる。そして奈美江を出せと脅してくる。一旦は奈美江を匿う2人。しかし、桐原は彼女をヤクザに売り、奈美江は死んでしまう。さらにヤクザも警察に売ってしまう。 桐原のやり口に嘔吐する友彦。 第7章 東西電装東京本社の社員高宮誠は、唐沢雪穂との結婚を間近に控えていた。高宮が雪穂との結婚を進めようとしていた理由は、かつて雪穂に堕胎させてことがあるからだった。責任を感じる高宮。ただし、彼は派遣社員三沢千都鶴が気になっていた。彼女の想いを確認するため、会おうとする。しかし、雪穂は盗聴をしていて、高宮と三沢の出会いを桐原に妨害させて会わせないようにする。 第8章 パソコンショップを営む桐原と松村の元に金城が訪れる。スーパーマリオのソフトの海賊版をつくれという。それを断る桐原の下に今度は松浦が訪れて説得を行う。松浦のために危ない橋を渡ることになった桐原。 桐原は松村と弘恵のために、紙細工をつくってくれる。 ある大晦日の夜、桐原の元に電話がかかり、桐原は出ていく。1月3日には、マリオの海賊版のブローカーが摘発されたというニュースが流れる。そして桐原は行方をくらます。しばらくしてパソコンショップを刑事の笹垣が桐原を探して訪れてくる。 章の途中では、雪穂が妊娠の証に見せた検査薬は、桐原が松村と弘恵から借りたものであることがわかる 第9章 高宮誠は雪穂と結婚をしていた。結婚生活は最初順調であったが雪穂は株に、続いて会社生活に手を出すなどしていたため、高宮は不満を溜めていた。雪穂は、事業のため高宮に店も買い取らせていた。2人の夫婦仲も、かつて雪穂が高宮の子を堕していたため良くはなかった。 やがて、雪穂は高宮をゴルフスクールに連れていく。そこで高宮は三沢千都鶴に再会し、2人は関係を深めていく。雪穂は、高宮を酔わせ、DVされた痕跡をつくることで離婚に持ち込む。 また高宮の会社からソフトウェアのエキスパートシステムを流出させた手引きをしたのが雪穂であることが匂わせられる。 第10章 私立探偵の今枝直巳が登場する。彼はエキスパートシステム流出の足掛かりを辿るように、数年前に東西電装株式会社より依頼されていた。流出先であるメモリックス社の秋吉雄一を尾行する今枝。秋吉は、三沢千都鶴を尾行していた。秋吉を尾行することで、今枝は千都鶴と高宮の不倫を目撃する。ただし、それ以上にエキスパートシステムに関してわかったことはなかった。 その後、運動のためゴルフ場に行くことした今枝は、今度は高宮と知己になる。高宮を通じて知り合った篠塚一成より、今枝は雪穂の調査を依頼される。篠塚の従兄弟である康晴が雪穂に熱愛しているからだという。雪穂の資産やパトロンの存在、過去の川島江利子の件から彼は雪穂を怪しんでいた。今枝は過去の雪穂や、桐原の父が殺された件、雪穂の実母が不審死した件などを調べ上げた。 雪穂の店に相棒の菅原絵里を連れて調査にいく今枝。彼が篠塚から借りた腕時計を雪穂は覚えていた。また、大阪に行くことで雪穂の同級生である元岡邦子や川島江利子に聞き取りを行い、江利子や藤村都子のレイプ未遂事件などを知る。   第11章 今までの調査結果を篠塚に伝える今枝。いかにうまく雪穂が資産運用をしていたこと、また高宮に売れと言われていた株を実は売っていなかったこと、過去の二つのレイプ未遂事件のことなどを伝える。 また、篠塚という名字から一成の名前を出したこと、江利子が雪穂には好きな人がいたという感想をもっていたこと、一成の時計を覚えていたことから、雪穂が一成を好きなのではないかという推理も伝える。菅原絵里が雪穂の家に行った際の身分証から絵里の家は(桐原)によって盗聴される。 そしで今枝の家には笹垣が訪れてくる。大阪に行った事情や桐原の行方を尋ねる笹垣。今枝は桐原の写真を見ることで、彼が秋吉雄一であることを知る。それを隠す今枝。後日、高宮を通じて、今枝のことを笹垣に伝えたのは高宮であることを知る。 ある日帰宅時に、今枝は自宅に置かれた青酸カリによって命を落とす。 第12章 栗原典子は自宅近くで体調を崩していた秋吉祐一(桐原亮司)を助ける過程で、同棲を始めることになる。桐原は彼女から青酸カリを入手する。また、彼が大阪に行くと言うので同行し、彼の故郷を共に訪れ、写真をたくさん撮った。 篠原一成のもとに笹垣が現れる。笹垣は、行方不明になっている今枝の自宅の留守電から篠塚の存在を知ったと言う。篠原は従兄弟のために調査を依頼したと笹垣につげる。笹垣は納得せず、理由はそれだけではないだろうと言う。金銭的な謎や過去に雪穂の周りであった不審な事件などを笹垣に篠塚は告げる。笹垣は、雪穂の影に常に見える存在である桐原のことを篠塚に伝える。 雪穂の義母がなくなり、従兄弟の康晴より代理で通夜に行くように依頼される。大阪に飛ぶ一成。 そこで雪穂からの誘惑を受けるが一成はなんとか切り抜ける。義母の死に際しても、雪穂と桐原の関与を疑う篠塚一成。君は本当に1人なのかと。 第13章 最終章。 今枝の事務所では菅原絵里が、今枝の帰りを待っている。栗原が事務所に訪ねてきたことを笹垣に伝える。 栗原の元には、かつて相談所で知り合った男が現れ、桐原が栗原と出会う前から、栗原に目をつけていたことを語る。 唐沢雪穂は、康晴と暮らし始めていた。康晴の連れ子の美佳は雪穂にはなつかない。雪穂は桐原に美佳をレイプさせ、彼女を手なづかせる。 笹垣は篠塚の元に行き、今までの雪穂と桐原の物語を語り始める。 笹垣は雪穂が桐原洋介を殺したのではないかと睨んでいた。雪穂の母が不審死をしていたからである。さらに笹垣は、桐原洋介が殺された廃ビルのダクトの構造や、無視されていた密室のドア裏に置かれていた障害物、桐原と雪穂が『風と共に去りぬ』を読んでいたこと、雪穂と桐原が仲がよかったという証言から、桐原亮介が父を殺したと睨む。しかし、動機はわからない。 2人はかつて雪穂の周りで起きた2つのレイプ事件も、関係者のコメントから桐原と雪穂が起こしたのではないかと推測する。これが2人の、相手の魂を奪う方法だと。 笹垣は栗原典子の家を訪れ、彼女が大阪で撮った写真から、栗原典子の同棲相手が桐原だと告げる。また、栗原の証言から篠塚薬品にハッキングしていたのが桐原であると確信する。 篠塚と笹垣は、2人で篠塚康晴の家に行き、雪穂の危険性を伝える。激昂する康晴は、雪穂が大阪の義母の家から持ってきた鉢植えを割ってしまう。そこからサングラスの破片が出てくる。2人は大阪にて、雪穂の義母の家の庭から松浦勇の死体を発見する。松浦勇の手には、桐原の髪の毛が握られていたこともわかる。 笹垣は桐原弥生子から、洋介に幼児趣味があることを聞いていた。また、洋介が殺された日、弥生子と松浦が情事に耽り、本当は亮司のアリバイがないことも知る。 全ての情報を得て、笹垣は真相にたどり着く。 桐原洋介が、雪穂の母の西本文代から雪穂を買っていたこと、雪穂は母に寺崎にも売られていたこと、雪穂を庇った亮司は自分の父を殺したこと。 笹垣は、ハッキングと松浦勇殺害の罪から桐原亮司を捕まえようと、雪穂の店のオープンの日に待ち構える。 サンタの格好にしていた桐原を追い詰める笹垣。桐原は逃げる過程で、ハサミが胸に刺さり、死んでしまう。 桐原亮司を「全然知らない人です」と告げ、 雪穂は一度も振りかえらなかった…。

薄雪さんの感想・評価

ドラマ化もされている伝説的作品ですよね。 読むのは3回目です。読むたびにいろいろな感想が浮かんできます… 質家の主人、桐原洋介が廃ビルで殺される。刑事、笹垣潤三は犯人探しに乗り出す。 桐原の妻の名前は弥生子。質屋の部下の名前は松浦勇。桐原が殺された時、2人にはアリバイがあった。桐原洋介の足取りをたどり、西本文代、寺崎忠夫に行き着くが、西本も寺崎も事で死んでしまう。事件は暗礁に乗り上げる。 あとには洋介の息子の亮司と、西本文代の娘、雪穂が残される。 その後、美しい娘、雪穂の人生の影にはいつも桐原亮司が見え隠れする。2人は愛し合い、庇い合い生き延びていた。誰の目にも留まらず…。 純愛というにはあまりにも重たい2人の関係。例えば、グレートギャッツビーのようなロマンチックさはここにはないです。 この小説自体なんでしょうか?ミステリが主眼ではなく、サスペンスでもない。解説で馳星周はノワールであると告げています。 でもやっぱり私はなによりも人間ドラマ、恋愛小説なんじゃないかと思うんですよね。恋愛という言葉が軽ければ、愛の作品。 雪穂が隠れて桐原に手袋を作っていた、雪穂が作った店の名前が「R&Y」であったこと、2人が事件に巻き込まれるたびに、必死に庇いあっていたこと。作品中では、2人の気持ちは直接は書かれないのでですがそれが2人の関係やこの作品の叙情性を高めます。 ただ、いくつかの謎も多く、未だに気になっています。 たとえば、2人の気持ちには違いがあるように感じます。 桐原亮司は、作中で「俺の人生は白夜の中を歩いているようなものだからな」と言っています。桐原は、白夜を歩いていたと。 対して、雪穂は、「私は太陽の下を生きたことなんかないの。私の上には太陽なんてなかった。いつも夜。でも暗くはなかった。太陽に代わるものがあったから。ー太陽はなんてなかった、だから失うものなんてなかった」と告げています。そこにはニュアンスの違いがある。失うものなんてない? もしかしたら雪穂にとっては、桐原亮司はとても大事な人だったけれど、男として本当に愛せてはいなかったのかもしれない。その代わり、作品の中で、雪穂は篠塚一成にだけは特別な感情を抱いているように見えます。 最後に雪穂は、死んでいく桐原亮司を「全然知らない人です」と告げ、一度も振りかえらず歩いていきます。普段完璧な演技をする雪穂らしくありません。彼を失い、改めて亮司の存在の重さに気づいたんじゃないでしょうか? 白夜行。 ドラマ化の際のキャッチコピーはこうです。 「愛することが罪だった。会えないことが罰だった。」 また読み返す作品だと思います。

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