夏と花火と私の死体
乙一
集英社
2000年05月
概要
九歳の夏休み、私は殺されてしまったのです……。少女の死体をめぐる兄妹の暗黒の冒険。斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、天才少年・乙一のデビュー作、ついに文庫化。(解説・小野不由美)
ステータス
読んだ
メモ
やがて以前の使用人から、優子は2年前に亡くなったと聞かされ、確信を深めた清音は書斎に忍び込み、幻覚の影響で優子を人形と信じ込んだまま焼き殺してしまいます。優子は実在する人間であり、清音は毒による幻覚に惑わされていたのでした。物語は、政義が清音を受け入れようとするが、彼女の精神は壊れたままという不穏な余韻を残して終わります。
薄雪さんの感想・評価
乙一の『夏と花火と私の死体』 表題の物語と「優子」という短編の2作からなります。 夏ということで読ませていただきました。 小学3年生の少女・五月が夏のある日、親友の弥生に高い木から突き落とされて死んでしまう場面から始まります。弥生は兄の健と共に、事故に見せかけて五月の死体を隠すことを決意します。物語は、死体となった五月自身の視点で語られ、夏休みの4日間、兄妹が死体の隠蔽に苦心する様子が描かれます。子供ならではの無邪気さと残酷さ、そして死体視点の冷静な語りが不気味な印象を残す作品です。最後に五月の遺体は…? 「優子」 身寄りのない清音は、父の友人である鳥越政義の家で家政婦として働きます。政義の妻・優子には一度も会ったことがありません。食事は毎回書斎の前に置かれますが、半分だけ減っているなど不自然な点が多く、清音は優子が人形ではないかと疑い始めます。鳥越家に纏わる謎解きとは…。 ミステリーとしては話があまりにも大胆すぎるのですが、「夏と花火と私の死体」のような作品は叙述方法が刺激的でつい読んでしまいます。作品執筆時乙一さんは16歳だったそうで、驚きです。 ただ、私としては乙一さんは、人の気持ちを繊細に掬い上げていくような、もう少し成熟されてから書かれた作品のほうが好きかな。
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