汝、星のごとく
凪良 ゆう
講談社
2025年07月15日
概要
第20回本屋大賞受賞作! シリーズ累計100万部突破! あなたと生きる、その痛みごと。 著者2度目の本屋大賞を受賞した『汝、星のごとく』が3年の時を経てついに文庫化!同じ空の下であの星を見上げよう。そして、また出会おう。あまりに切ない運命を、繊細な心理描写で描いた著者最高傑作。 風光明媚な瀬戸内の島で育った暁海(あきみ)と母の恋愛に振り回され転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人が恋に落ちるのに時間はかからなかった。ときにすれ違い、ぶつかり、成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けた著者がおくる、あまりに切ない愛の物語【2023年本屋大賞受賞作】 文庫版発売記念!読者プレゼントキャンペーンへの応募はこちらから! https://tree-novel.com/works/episode/74da9ef8dd6d6acc19f4227d2ba93502.html ☆2023年本屋大賞受賞作☆ 【第168回直木賞候補作】 【第44回吉川英治文学新人賞候補作】 【2022王様のブランチBOOK大賞】 【キノベス!2023 第1位】 【第10回高校生直木賞候補作】 【ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2022 第3位】 【今月の絶対はずさない! プラチナ本 選出(「ダ・ヴィンチ」12月号)】 【第2回 本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞 ノミネート】 【未来屋小説大賞 第2位】 【ミヤボン2022 大賞受賞】 【Apple Books 2022年 今年のベストブック(フィクション部門)】 などなど、賞&ノミネート&ランクイン多数!
ステータス
読んだ
薄雪さんの感想・評価
凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』です。 本屋大賞を取った作品で、26年秋に映画化の公開が予定されています。 瀬戸内海に浮かぶ小さな島を舞台に、井上暁海と青埜櫂の愛を描いた小説です。以下、あらすじなので知りたくない方は一読をご容赦ください。 物語は、すでに壊れかけた家庭で生きる暁海の日常から始まります。暁海の父は島に移住してきた刺繍作家の林瞳子と不倫関係にあり、やがて家を出て彼女のもとに移り住みます。父を失った母は精神的に不安定になり、暁海は高校生でありながら家事や母の世話を担う立場になっていきます。島という閉鎖的な共同体では噂がすぐに広まり、暁海の家庭事情も周囲に知られていました。 青埜櫂は京都から島に転校してきた学生です。母子家庭の母は恋愛を最優先する人物で、男が変わるたびに住む場所も変え、櫂を振り回してきました。島へ移り住んだ理由も、母が新しい恋人を追いかけてきたためでした。暁海と櫂は、互いに親の問題を背負わされている境遇から親しくなり、放課後に会って話すようになります。家庭の中に安心できる居場所をもたない二人は、次第に互いを特別な存在として受け入れ、恋人関係になります。高校時代、二人は花火大会の日に関係を持ち、それを化学教師の北原に見つかりますが、北原は二人を強く咎めることはありませんでした。 高校卒業後、櫂は漫画原作者になる夢を追い、作画担当の久住尚人と組んで東京へ上京します。一方、暁海は母を島に一人残すことができず、進学を諦めて地元の会社に就職します。二人は遠距離恋愛を続け、当初は休暇のたびに会い、関係も保たれていました。櫂は漫画の原作者として順調に成功し、連載が軌道に乗り、やがて作品がアニメ化されるなどして収入も社会的評価も高まっていきます。しかし、多忙な生活と成功による変化の中で、櫂の生活は次第に荒れ、浮気をするようにもなります。一方、暁海は低賃金で働きながら母を支える生活から抜け出せず、櫂との間に、生活環境や価値観の差が広がっていきます。 久しぶりに島で再会した際、二人の間でその溝が表面化し、諍いの末に別れを選びます。櫂はこのとき、暁海にプロポーズするつもりで指輪を用意していましたが、それを渡すことはできませんでした。別れの後、櫂にはさらに不運が重なります。漫画制作のパートナーであった尚人が、未成年との関係を疑われるスキャンダルで週刊誌に報じられ、実際の事情にかかわらず連載は打ち切られます。櫂の漫画家としての活動は事実上終わり、尚人は精神的に追い詰められていきます。 一方、暁海の生活も安定には程遠いものでした。母が宗教に傾倒し、家の貯金を使い果たした末、暁海が激しい言葉で母を責めた直後、母は事故を起こし、多額の賠償金が必要になります。暁海はやむなく櫂を頼り、300万円を借ります。その後、暁海は毎月決まった額を返済し続けますが、個人的な関係を再び持つことはなく、二人のつながりは金銭のやり取りだけとなります。櫂にとっては、その振り込み記録だけが暁海との唯一の接点となっていきます。 30歳前後になった頃、暁海は高校時代の恩師である北原から結婚の提案を受けます。それは恋愛感情を前提としたものではなく、「互助会のような結婚」としての関係でした。暁海は生活の安定を選び、北原と結婚します。刺繍の技術を磨いていた暁海の仕事も徐々に軌道に乗り始めます。同じ時期、櫂は暁海の結婚を知り、自身の漫画家引退を決めます。ほどなくして胃がん(ステージ3)を宣告され、さらに尚人が自ら命を絶つという出来事が重なり、櫂は心身ともに行き場を失っていきます。 櫂の母は息子の病と向き合うことができず、暁海に櫂を見てほしいと頼みます。北原は暁海に、櫂の最期の時間を共に過ごす選択をするよう背中を押します。暁海は東京へ行き、櫂と短い日々を共に過ごしたのち、二人で島に戻り、花火大会を見ます。夜空に花火が打ち上がるその瞬間、櫂は暁海の腕の中で静かに息を引き取ります。 物語のエピローグで、暁海は再び北原のもとへ戻り、島での生活を続けています。北原は月に一度、過去に関わりのあった女性と会っており、そのことも含めて島ではさまざまな噂が立ちますが、暁海はそれらに大きく心を乱されることなく日々を送っています。櫂が最後に書いた小説が暁海の元に送られています。そのタイトルは『汝、星のごとく』です。 とても面白いです。あっというまに2日くらいで読み切ってしまいました。付け足すところは何もないような恋愛小説、でしょうか。 星、海、波、そして花火。 美しい情景描写が思い浮かびます。 「櫂はもう握り返してこない。 煌めきながら散っていく、あの星たちの中にいるのだろう。」
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