くもをさがす
西 加奈子
河出書房新社
2023年04月19日
概要
カナダで、がんになった。あなたに、これを読んでほしいと思った。西加奈子、初のノンフィクション。
ステータス
読んだ
🐳さんの感想・評価
📚 ◽️ "'歩く速度で走りながら、私は自分の寂しさを見つめた。寂しさはやはり鋭く、見つめることは痛みを伴った。病気に罹らなくても、いずれこの寂しさと、私たちは対峙しなければならない。老いてゆくとはそういうことだ。昨日まで出来ていたことが出来なくなる。それはある日急に起こったり、いつの間にか始まっていたりする。私たちは終わりに向かって、着実に足を進めている。" ◽️ ″見つめた先にあったのは、大抵、私の内にある恐れだった。それは本当に頻繁に現れた。例えば何かに腹が立った時、その感情をずっと見つめ、解体し続けると、最後にあるのは恐れなのだった。″ ◽️ 「私は、ケチなのかもしれない。この美しい瞬間のことは、きっと書くべきだ、みんなに知ってもらうべきだ、そう思う心のどこかで、強く、「教えたくない」と思っていた。本当に、本当に美しい瞬間は、私だけのものにしたい。誰にも教えたくない。こんなにこの文章を読んで欲しいと願った「あなた」にもだ。 私は、私に起こった美しい瞬間を、私だけのものにして、死にたい。" 思春期の時からずっとだいすきな西加奈子さん。西さん自身の愉快さが文章に現れたいてどの作品も楽しませてもらっていました。 病気とコロナ禍でどんなに不安か想像できない…。 乳がんになっても前向きで、時に抗がん剤治療で落ち込むこともあるけれど、周りにとても愛し愛され、人の暖かさや西さんの美しい心が伝わりとても元気をもらいました。 時々綴られている詞に、カネコアヤノさんの「燦々」がありました。この本に出会う前と今では聴き方が変わりました。より、力強く感じるのもまた西さんの人生に関わったからで、嬉しい。
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