叶夢夏の庭
夏の庭

夏の庭

湯本 香樹実

新潮社

2001年05月

概要

町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだー。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが…。喪われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。

ステータス

読んだ

叶夢さんの感想・評価

「死」とは何なのか、「大人になる」とはなんなのか。今までわかってるようで理解していなかった問に対して、この作中を通して少し触れることができた気がした。少年たちにとって長いようで短い夏休みとおじいさんにとって短いようで長い余生。この2つが交わったことでお互いが変わり、成長できたのだと感じた。作中の「ほんのちょっとしたことで姿を現してくれるものもあれば、長くてつらい道のりの果てに、やっと出会えるものもあるに違いない。」という言葉が1番印象に残っている。人生って何なのか考えた時に、この言葉のおかげで少しはポジティブに生きていけるような気がした。また、自分も大学生になり、「大人になる」ということを考える機会が増え、いろいろな悩みや葛藤も増えてきていた。「大人になんてなりたくない」「自分が思い描いていた大人になれない」と今の自分を責め、「歳を重ねる」ことを少し否定する自分もいた。しかし、作中の「歳をとればとるほど、思い出は増える」「いつかその持ち主があとかたもなく消えてしまっても、いろんなところを漂いながら、また別のだれかの心に、しのびこんでいるのかもしれない」という言葉と出会い、「大人になる」というのはただ歳を重ねるというわけではない。と気づき、「大人になる」ことも「歳を重ねる」ことも悪いことばかりではないのだと少しだけ思えた。20歳になり、大人と子供の狭間で悩み苦しみ悶えていた今だからこそこの本に出会えて良かったと思う。きっとこの先も、たくさんの悩みを抱えることとなると思う。大人になれない自分を恨む日もあると思う。しかしそんな時はこの本を思い出し、少しずつでも自分のペースと周りの人との出会いを大切にして生きていたいと思えた。

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