からくりサーカス(22)(完)
藤田 和日郎
小学館
2019年02月15日頃
ステータス
読んだ
メモ
白金をどの名前で呼べばいいのかわからない
河伊さんの感想・評価
噂に違わぬ面白さ。もっと有名になるべき。 ・壮大なBSS(僕のほうが先に好きだったのに)から始まり、そこから最悪の誤解ドミノが起こる。全てを知っている人間が読者しかいないため、登場人物たちが限られた情報の中で誤解しているのを見ると本当にもどかしく、そこが面白い。 ・「ねえこれ無駄な話じゃない!? 無駄な話だよね!?」と思った全てが必要なものだったとわかる超爽快漫画。伏線は全て回収されると言っていい。 特にラスボスである白金(フェイスレス)の散り様が素晴らしい。白金(フェイスレス)は自分の分身たる勝によって ①先に好きになった人から横恋慕してはいけない ②好きな人だとしても無理矢理さらってはいけない ③自分が一番向こうを愛しても、向こうが自分を一番愛してくれるとは限らない という過ちすべてに最後全て気づいた上で兄の心境を理解して散っていくのが本当に綺麗。横恋慕という自分がやられて一番嫌だったことを自分もやろうとしていたことに気づいた瞬間、もうほとんど崩れた。そしてディアマンティーナによって一方的に愛される気持ちもわかったのが致命的な敗因で、そこから勝によって兄心を理解した瞬間こいつは改心した。 連載を追っていたら飽きていたと思うが、まとめ読みだと大どんでん返しが多くて飽きない。 特にフランシーヌ人形が偽物だと分かった瞬間の絶望はやばい。また鳴海がエレオノールを完全にフランシーヌと誤解しているとわかった瞬間の絶望もやばい。エレオノールがあんなにも鳴海を愛しているのに、それが鳴海にミリも伝わらないのが本当にキツくて……。でも二人は最後幸せなキスをしたのでオールオッケーです。二人のキスシーンはマジで泣きました。 あとこの作品は死に様の描き方がよくて、私はルシール、ジョージ、ギイが死んだ時泣きました。特にギイの概念ヴァージンロード付き添い人はもう涙が止まらない。あっ、ルシールの死も捨てがたいな。ルシールは本当は娘のアンジェリーナに料理や縫い物を教えたかったのに、人形繰りを強制するしかなくて後悔していたんだと思う。本当は鳴海にだってコロッケ作ってあげたかったんだと思う。でもルシールはフランスの小さな村に住む平凡な主婦ではなく、戦いに身を捧げたしろがねだから、そんな小さな夢すら捨てざるを得なかった……きっつい。 ジョージはあれほどしろがねOは人であり人ではないと強調していて、彼自身も人間だった頃は演奏機械人間みたいな扱いをされていたのに、最後やりたいことを見つけ人間になれた。 人とは何か、愛とは何か、愛さえあれば何をしてもいいのか、を考えさせられる作品ではあるが、そんな細々したこと考えなくてもいいくらい面白かった。でも三人娘編は要らなかった思う。いやあってもなくても良いのほうが正しいか。
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