tamakiアレクサンドリア四重奏(1)
アレクサンドリア四重奏(1)

アレクサンドリア四重奏(1)

ローレンス・ジョージ・ダレル/高松雄一

河出書房新社

2007年03月

概要

このエーゲ海の孤島に、ぼくはぼくたちの心を引き裂いたあの都会から逃れてきた。ぼくをメリッサに会わせ、そしてジュスティーヌに会わせたあの都会ーぼくがメリッサを見出したとき、彼女はアレクサンドリアの淋しい海岸に、性の翼を破られて、溺れかかった鳥のように打ち上げられていた。彼女の明るいやさしい眼差しはぼくを幸せにした。それなのに、やがて出会ったジュスティーヌの仄暗くかげる凝視に、ぼくは抗うことができなかった。メリッサとジュスティーヌの夫を不幸にすることがわかっていても。ジュスティーヌがある日こう言ったのを思い出す。「わたしたちはお互いを斧の代りに使って、本当に愛している人たちを切り倒してしまうんだわ」しかし、ぼくはいま、あの埃にまみれた夏の午後から遠く離れたいまとなって、やっと理解した。裁きを受けるべきはぼくたちではない、あの都会なのだとー。

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